2014/05/31

赤血球

血液が赤いのは赤血球によるもので、液体自体が赤いわけではない。

赤血球を取り除くと、血液は赤色ではなくなる。


でも、血を見ても液体そのものが赤く見えるので、にわかに信じ難い。


しかし、もっと信じ難いことがある。


1mm³を指で作ってみて欲しい。


かなり小さく作るのも難しい。


その中に赤血球が男性500万個、女性450万個も入っているというのだ。


5個でも難しいのに500万個って。


そのあと自分の体を見ると、ものすごく自分の体が大きく見える。


自信を失くしたときにこれを考えると、自分はすごい生命体だと自信が持てるのは私だけか…。


ところで、車はエンジンオイルなど交換するのに、血液は入れ替えなくて汚くならないのだろうか。


数十年、体の中を回り続けている。


私たちの生活で周りを見ても、数十年使い続けられるものがあるだろうか。


実は、赤血球は1日に1%、新しい赤血球と入れ替わっているのだ。


赤血球は骨髄で生成され、肝や脾の細網内皮系で破壊される。


こうして体内で、私達が知らない間にセルフで処理され続けて来たのだ。

ちなみにその赤血球、何をしているかというと主に酸素と二酸化炭素の運搬である。


赤血球の体積の30%を占めるヘモグロビン。


そのヘモグロビンの中の鉄にくっついて酸素が運ばれている。


また二酸化炭素は、75%は水にとけ重炭酸イオンとして、20%はヘモグロビンのグロビン蛋白と結合して、残りの5%は遊離ガスとして組織から肺に運ばれている。


これだけのシステムが体内には出来ている。


最初の日記に戻ってしまうが、たまたま進化で出来たとは考え難い。




<補足>

黄疸の分類
 肝前性黄疸:尿中にビリルビンが出ない。(間接型)ex.溶血性黄疸
 肝性黄疸 :血液中に間接型・直接型両方のビリルビンが見られる。ex.肝細胞性黄疸
 肝後性黄疸:尿中にビリルビンが出る。(直接型)ex.閉塞性黄疸





2014/05/29

血液

全血液量は、男性は体重の約8%、女性は体重の約7%。

血液は骨髄でつくられる。


血液中の液体成分を血漿という。


血漿に含まれるタンパク質にフィブリノゲン、アルブミン、グロブリンがある。


血漿からフィブリノゲンを除いたものを血清という。


血液から血清を除いたものを血餅(赤血球、白血球、血小板、フィブリノゲン)という。


血漿の90%は水分でその中に糖質、脂質、蛋白質、無機質が溶けている。


血漿蛋白質のうちγグロブリン以外は肝臓で生成される。


脂質は血中ではリポ蛋白として存在している。


0.9%の食塩水は血漿と等張で生理食塩水と呼ばれる。(1ℓに9g)


2014/05/24

水素水

水素水なるものが、体に良いと話題になっている。

水素が、老化の原因だとされている活性酸素と結合して水になるとか。

だからいっぱい水素を摂ればアンチエイジング効果があると。

そこで、生理学の基本を使って考察してみる。

生体外の環境は常に変化している。
しかし、生体内の環境は安定に保たれる。
これを、内部環境の恒常性「ホメオスタシス」という。

保たれているものの中に、体液のPHというものがある。

簡単に言ってしまえば、体液の濃度である。
正常体液のPHは7.35~7.45の弱アルカリ性で、酸性に傾き過ぎたりアルカリ性に傾き過ぎないように常に精密に調節されている。

そして、PHを酸性に傾ける物質が水素イオン「H+」である。

生体は体内で行われる代謝の結果、絶えずH+を産生している。
そのため、酸性に傾き過ぎないよう余分なH+を腎臓で排泄している。

常に産生され続け、腎臓が余った分を一生懸命処理しているのにわざわざ摂る必要があるのだろうか。

仮に、H+の産生量が足りなかったとしたら、体に問題があるので摂取して補えば良いと言っている場合ではない。
逆に、活性酸素の産生量が多過ぎてH+が足りないのだとしたら、また違った対応が必要になってくる。

また、アンチエイジングの敵とされている活性酸素は、好中球やマクロファージが体に入った細菌などを分解するときに使われている。

いわば大事な免疫、生体防御に必要な物質としての一面も持っている。
減らすことで老化を防いでも、免疫が低下して病気になったら意味がない。

要は何でもそうであるが、過剰がいけないというだけで、活性酸素が過剰であれば代謝で常に産生されるH+が水に変化させてくれるし、H+が多過ぎれば腎臓が排泄してくれる。


結局、体が勝手に調節してやってくれているのだ。

それを、外から余計なことをする必要などないと私は考えている。
以前の日記にも書いたが、人間の体は私達が知っている以上にハイスペックなのである。
もし何かをしたいのであれば、そういった調節がきちんと働くよう規則正しい生活を心掛けることが一番大事なのではないかと私は考える。


<補足>
最近、水素ガスとして知られる分子状の水素「H2」を使った研究で良い結果が出ているらしい。
ただし、この水素ガスは巷に出回っている非科学的な水素とは異なるものだとか。
ペットボトルに入っている水素も、手に届くころには抜けてしまっていると言い切られている。





2014/05/20

飲水

水飲み健康法、水飲みダイエットなど色々あるが、やはり賛否が分かれている。
そんな中、私が気になるのは飲む量である。
どのサイトを見ても飲む量の詳しい説明をほぼ見かけない。
いったい、この1.5~2Lの数字はどこから来ているのか。
一番大事なところをメディアは記事にしてない。
いかに適当かが良く分かる。

説明するので、もしこの健康法を取り入れてる人がいたらぜひ参考にして欲しい。

まず、この数字がどこから来たのか。

成人の体液は体重の60%である。

その体液量は常に一定である。
一日に体に出入りする水の量は総体液の7%である。

体重60kgの人の総体液量は60×0.6で約36L。

一日の出納量は36×0.07で約2.5Lとなる。

どんな形で摂取と排泄が行われているかというと、


摂取

 飲料水            1.3L
 食品中の水分        0.9L
 酸化水(代謝で出る水分) 0.3L

排泄

 尿               1.5L
 汗               0.5L
 肺(呼吸)           0.4L
 糞便              0.1L

成人男性の60kgは平均的でよく使われる。

おそらくここから1.5~2Lという数字になったのであろう。

しかし、この健康法・ダイエットを取り入れてる人の多くは女性なのでは。

たとえば、体重が45kg程度の小柄な女性の場合、

45×0.6×0.07=1.89L


食品中の水分は500mlくらいはあるだろうから、酸化水も考慮すると約1Lでも充分となる。

1Lで充分な女性が2Lも飲んでたら、お腹いっぱいでご飯が食べられず、逆に不健康になってしまう。

やる時はぜひ自分の体重を当てはめて計算して欲しい。

食品中の水分は人によって変わると思ので、出た数字から酸化水を引いた分くらいを上限に水を摂ると良いかもしれない。


<補足>

スポーツなどをした場合はしっかりと水分補給をするように。
ノドが渇いたと感じた時にはもう遅い、脱水症状だという先生もいる。
ちなみに人は、350mlの水分を消失すると視索上核の血液浸透圧受容器が感知してノドが渇いたと感じる。
基本的な缶ジュースが350mlなのもそこから来ている。

そして、覚えていてもらいたい注意点。

「今日、全然水飲んでないや」と一気に大量の水を飲むのはやめるように。
水中毒というものがあるからだ。
また、東洋医学的には体を冷やすのは良くないとされているので、飲む水は冷やさずせめて常温で。

2014/05/17

解糖と呼吸

ブドウ糖(グルコース)は、

無酸素下では、グルコースからピルビン酸へと分解され2ATPが生じる。

有酸素下では、ピルビン酸からアセチルCoA(コエンザイムA)に分解され、TCAサイクル、電子伝達系を経て、水、二酸化炭素に分解される。
その時、TCAサイクルで2ATP、電子伝達系で34ATPが生じる。
結果、1molのグルコースから38ATPが生じる。
ちなみに、ATPは1molあたり7.3kcalのエネルギーを持つ。

無酸素下でピルビン酸まで分解されるのが解糖系。
有酸素下でTCAサイクル、電子伝達系で行われるのが呼吸。

TCAサイクルはミトコンドリアのマトリックスで行う。

電子伝達系はミトコンドリアのクリステ(内膜)で行う。

化学式

C6H12O6+6O2→6H2O+6CO2+38ATP

2014/05/15

タンパク質の合成

細胞内におけるタンパク質の合成は、

まず、核内の核小体でRNAが形成される。

mRNAがDNAの遺伝情報を転写して核の外に出る。

tRNAがmRNAの情報に合わせてアミノ酸を集めrRNAに運ぶ。

rRNAがリボゾームを形成し、粗面小胞体でアミノ酸を原料にタンパク質の合成を行う。

この流れを、セントラルドグマという。

そして、粗面小胞体で合成されたタンパク質は、(滑面)小胞体の形でゴルジ装置に運ばれ、濃縮・加工・貯蔵され、再び包み込まれて小胞となり細胞外に放出される。



2014/05/08

運動のメカニズム

前回、人間の機能はハイスペックであると述べたが、今回はその一部を紹介したい。

我々が日常行っている行動(随意運動)は全て脳でプログラミングされている。


たとえば、目の前の「たまご」を取るとする。


まず、光を情報として目から脳の視覚野に、たまごがそこにあるという情報が伝えられる。


次に、側頭連合野で「たまご」であることを確認。


次に、頭頂連合野で「たまご」の位置・方向・距離の確認。


次に、前頭連合野で「たまご」を取るという意思が決定される。


これらの情報を受けて運動連合野で、手を動かすためのプログラムが組まれる。

どの筋を収縮・弛緩させるのか。
その際、収縮・弛緩はどの順で行わせるのか。
力の入れ具合はどれくらいにするのかなど。

そして、運動野はこのプログラムに従って筋へ運動の指令を発する。


さらに、小脳が運動の指令と実際の動きとを比べ見張りをする。

動きに誤りが生じた場合、すぐさまプログラムを組み直す指令を出し、その誤りを修正し、きちんとした動きが出来るように調節している。

この間わずか0.04秒。


こうして、我々は「たまご」を通り過ぎることなく、また握り潰すことなく手に取ることが出来るのである。


一つの行動でこれだけのやり取りが行われている。


我々は一日にどれだけ行動しているのだろう。


2014/05/01

生化学

人間の体は素晴らしい。
それは、生化学を学ぶことでより知ることが出来る。
その機能はハイスペックにも程がある。
これだけ科学が進歩していても、いまだに人間と同じ機能のロボットを造れない。
しかし、我々は存在している。

人間を構成してるタンパク質はアミノ酸から出来ている。

二十種類以上のアミノ酸がある個数、決まった配列で並ばないとタンパク質にはなれない。
自然の中でそう並ぶ確率は天文学的な数字になる。
ある人はこう言う。
「タイプライターの前に座らせた猿が、たまたまシェークスピアの一説を打つぐらいの確率だ。」
「時計の部品をプールに入れ、水の流れだけで完成させる確率だ。」

これだけ不可能に近い確立を乗り越えて我々は存在している。

だとしたら、誰かが並べたと考える方が早いのではないか。

もし、お腹の中の赤ちゃんに知能があったら、こう考えるだろう。

自分はどこから来たのかと。
そして、胎盤や羊水を分析して色々な説を唱えるだろう。
我々が宇宙へと調査の手を広げるように、子宮外の調査を始めるだろう。
我々が他の惑星を発見したように、他の臓器を発見するだろう。
我々が宇宙の果てに辿り着けないように、腹壁に辿り着けないかも知れない。
その腹壁の外に、まさかこんな世界が広がっているなんて想像すらしないだろう。
赤ちゃんはお腹の外に出て、初めてその理由を知る。
我々も宇宙の外に出たときに、全てを知ることが出来るのかも知れない。
そして、赤ちゃんの起源に親という存在があるように、我々人間にもそういう知り得ない存在があるのかも知れない。
そう考えると、人間がここまでハイスペックであることの説明がつく。
生化学を学べば学ぶほど、人間の機能がプログラム無しで出来あがるとは思えないのである。