「筋肉の悪循環仮説は最新のサイエンスから否定されている」という投稿に、気になる事が書かれていました。
気になる事とは、
「指圧や痛みを誘発する他の刺激は、刺激された筋肉の緊張を低下させるだろう。」
参照元の論文があったのでこちらも読んでみました。
73の論文▼
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18403422/
全文▼
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2536575/
74の論文▼
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23417691/
全文▼
https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1113/expphysiol.2012.071670
これらの論文は、筋肉が硬くなる→痛み→その痛みが原因で更に硬くなるという悪循環理論の根拠がないことなどを述べているのですが、ここでの痛みがどの受容体による発火かまでは気にしてないようです。
まず、高張性生理食塩水を使って痛みを誘発してるので、これはC線維(Ⅳ群)の酸感受性イオンチャネルによる発火となります。
それに対してⅠa群、Ⅱ群の求心性神経の発火がないと報告しているので、これは分かりやすく書くと、
「C線維の酸感受性イオンチャネルに発する痛みでは、それによる反射的な筋肉の収縮が起きない」
と述べているだけです。
そもそも、C線維内にはTRPA1やTRPV1もありますし、指圧が強過ぎて痛い場合に反応するのはAδ線維です。
これらの論文ではAδ線維に関しては言及してないので自分の手技には問題なさそうです。
75の論文▼
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1863921/
「主動筋の活動は、例えこれが筋肉自体の痛みによるものでなくても、痛みによって減少する。」
おそらくここを読み違えたのかなと思うのですが、痛みによる活動低下と弛緩はまた別のことなので、この論文も問題なさそうです。
以上、これらを統合すると「指圧や痛みを誘発する他の刺激は、刺激された筋肉の緊張を低下させるだろう。」という主張は、そもそもの「受容体の違い」と「読み間違い」によるものなので、気にしないで良さそうです。
これで安心して自分の仕事ができそうです。