五本木クリニックの桑満先生が話題に上げていたので便乗してみました。
先生のブログはこちら↓
【磁気治療器VSプラセボ】厚労省は大丈夫か?磁気治療器が承認された根拠はスッカスカ!!??
https://www.gohongi-clinic.com/k_blog/44417/
ってことで、実際に企業がどんな謳い文句をしてるのかと、某大手企業のサイトをチェックしてみましてた。
すると、
「磁気が血管の内側にある内皮細胞に働きかけて、血管拡張物質であるNO(一酸化窒素)の合成を促進すると考えています。
この物質の働きで血管が徐々に拡がり、血行を改善していきます。」
と、ありました。
これだけだと、どう内皮細胞に働きかけてるのか分からなかったので、他のサイトもチェック。
すると、こちらのサイトに↓
①磁気をかけると、コリンエステラーゼの働きが弱まり、分解されるアセチルコリンの血管に作用する量が増えます。
②アセチルコリンはその量に比例して、血管拡張物質である一酸化窒素を増加させます。
③血管の内皮で増加した一酸化窒素は、血管の筋肉である血管平滑筋に作用し、血管を弛緩・拡張させ、血液の流れを良くします。
と、ありました。
これはかなりしっかり作り込まれているので、ほとんどの人が納得してしまうのではないでしょうか。
この表現からも、私が納得してない感が伝わってるとは思いますが、何が引っ掛かっているのかを説明します。
磁気によって、コリンエステラーゼが阻害されるという部分のプロセスに無理があるのです。
確かに、磁気は電荷を持つ粒子が運動することによって生じるので、電荷を持つ原子・分子と関係することは可能と言えます。
ただ、問題はどう関係するのかです。
コリンエステラーゼという酵素を阻害するには、2つの方法があります。
1つ目は、カルバモイル化させる方法。
2つ目は、乱暴ですが、無作為に分子そのものをぶっ壊す方法です。
さすがに2つ目はないと思うので、この説を立証するためには、どうやって磁気がコリンエステラーゼをカルバモイル化し続けるのかと、その特異性を付けてるのかをはっきりさせないといけません。
何故なら、磁気が全ての分子のカルバモイル化に関与していたら、人間はすぐに機能しなくなり死んでしまうからです。
だから、コリンエステラーゼにだけ働く必要があるのです。
数千種類ある酵素のうち、たった1つにだけ都合良く作用する磁気。
ちょっとムリがあると思えてなりません。
では、何故血行が良くなったり楽になると感じる人がいるのか。
おそらくプラセボによるものでしょう。
だだ、プラセボにも過程が存在します。
人間が有機化合物の塊である以上、過程なしで何かが変わることはありえません。
その過程はおそらくこうでしょう。
人間は、意識して筋肉に緊張を与えられるのと同じく、意識して筋肉の緊張を抑制させることができます。
詳しくいうと、筋肉は弛緩をイメージすることで抑制性介在ニューロンを介し、皮質脊髄路の興奮性を一時的に安静時より有意に減少させることができるのです。
そのため、磁気ネックレスをしたから大丈夫という安心感が筋肉の弛緩のイメージに繋がり、実際に筋肉が緊張が抑制されリラックスしたことで血管が拡張したのでしょう。
こう考えると、プラセボでも純粋な人には良い効果を示し、半信半疑で着けてる人には筋肉弛緩のイメージができてないので、効果が分からないのも頷けます。
「結論」
磁気でコリンエステラーゼを阻害するというエビデンスには無理がある。
効果を感じてる人には、せっかくプラセボが作用してるのでそっとしといてあげましょう。
ついでに、プラセボで起きている過程を専門的にまとめてみたので、知りたい方は最後までどーぞ。
プラセボとはいえ、リラックスすると副交感神経からアセチルコリンが分泌され、血管内皮細胞に存在するM3受容体に作用し、一酸化窒素合成酵素(NOS)が活性化されアルギニンから一酸化窒素(NO)が産生されます。
内皮細胞内で産生されたNOは、平滑筋細胞膜を自由に通過して、平滑筋内に入り可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化します。
可溶性グアニル酸シクラーゼはGTPに作用してcGMPの産生を促進し、Gキナーゼを活性化。
Gキナーゼによるリン酸化は、Ca2+の筋小胞体への取り込み促進、Ca2+の細胞外への排出促進、細胞内のCa2+濃度が低下するとミオシン軽鎖キナーゼが不活性化され血管平滑筋の弛緩をもたらします。
それにより血行が良くなったのでしょう。
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