2016/05/24

痛みの機序

自由神経終末の細胞膜-70mVに刺激が加わると細胞膜が興奮し、Naの透過性が2000倍近くに高まる。これによりNaが細胞内に流入し膜電位が脱分極し局所電位が起きる。脱分極が閾値を越えると活動電位となる。発生した活動電位が神経線維を伝導することで痛みの信号が届く。

毛細血管や筋線維に、痛覚線維はない。

筋肉の痛覚線維は、筋線維を包む結合組織(筋膜)、細動脈のまわりおよび筋肉と腱の結合部にみられる。

血流が減少している筋肉を収縮させると、侵害刺激を加えなくても痛みが生じる。


拘縮活動電位の発生を伴わずに起こる持続の長い非伝導性の可逆的収縮。多くの場合、膜は脱分極をしている。膜電位がおよそ-55から-50mVの範囲より負であるときには、拘縮は生じない。膜電位がこの閾値を超えて脱分極するときに拘縮が生じる。さらに脱分極が増大すると、張力も急速に増大し、膜電位が-40mVに達すると発生張力は最大になる。このように、収縮の強さは、膜電位の脱分極の程度によって決まる。

筋の収縮時に、筋小胞体へのCa2+の能動輸送が抑制されると、活動電位の発生が止まっても、筋は弛緩しなくなる。


一次侵害受容ニューロンは、脊髄前角の運動ニューロンとシナプス接続している。運動ニューロンを介して反射性に筋収縮や筋の持続的収縮を引き起こす。


体性交感神経反射経路:脊髄→(延髄→脊髄を下行→)脊髄側角→交感神経節前線維→効果器。痛み刺激により交感神経が興奮し、その分節の血管を収縮させる。一過性の血管収縮は出血や炎症を防止する防御反応である。また、一過性の血管収縮は虚血によるアシドーシスを来す。


皮膚の感覚神経の終末は真皮に多く存在する。


皮膚や皮下組織が傷害されてコラーゲンが露出すると、ブラジキニンなどの発痛物質が産生される。発痛物質が侵害受容線維を興奮させ、痛みを感じる。ブラジキニンにより、プロスタグランジンなどの発痛増強物質が産生される。発痛増強物質により発痛物質による痛みが増強される。





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