2019/05/10

アイシングはいらない vol.2

先日、キックの練習をしているときにバッティングをしてしまいました。
(バッティングとは頭と頭ががつんとぶつかることです。)
目の少し上だっただけに想像以上に痛くのたうち回ってました。
そしたら、ふとアイスパックを差し出されました。
こんなの効かないよと思いながら、せっかくなので実験してみることに。
アイスパックを当てたところ、患部が頭だったからかアイスを食べたときに眉間が痛くなるあの痛みが襲ってきました。
あまりの痛さにアイスパックを外し、患部を手で圧迫したところ痛みが和らぎました。
1回だけだとバイアスがかかっている可能性もあるので5回やってみることにしました。
結局アイシングで1度も痛みが和らぐ事はなく、圧迫では毎回痛みが和らぎました。

実は、これにはすべてエビデンスがあります。
これからそれを出来るだけ分かりやすく説明していきます。

まず、神経は太さや伝導速度によっていくつかの繊維グループに分けられています。
Aβ繊維:触圧覚と言って触ったり圧迫されたりを感じる神経。太さ8〜10μm。
Aδ繊維:痛覚(刺すような鋭い痛み)や、温度の冷たさを感じる神経。太さ1.5〜3μm。
C繊維:痛覚(炎症などズキズキする痛み)や、温度の温かさを感じる神経。太さ0.2〜1μm。

神経には、太い神経ほど脳に優位に情報が伝わると言う特性があります。
今回のバッティングはAδ繊維が反応しています。
冷たさを感じる神経は同じ繊維群なのでほとんど効果がなく、圧迫はそれよりも太い神経なので痛みが和らいだのです。
また、捻挫などの炎症の際にアイシングをして痛みが和らぐのは、炎症はC繊維が反応しているのに対して、冷覚のAδ繊維の方が太いので痛みが和らぐのです。
しかし、結局触圧覚のAβ繊維の方が太いのでわざわざアイシングをしなくても圧迫をしてあげるだけで痛みを和らげることが出来ます。
ちなみに、注意点が一つ。
圧覚は慣れやすい神経のため、こまめに圧迫し直してあげることが効果的です。
これがカラクリになります。
アイシングが治癒を遅らせることを書いた前回のコラムも読み直してもらうと、より合点が行くと思います。