2015/11/24

体温 その2

耐性環境温度域

 高温適応限界:42℃

 上臨界温度:放熱促進

 温熱中性帯:外気温29℃前後で裸体での産熱は最少となり、暑さや寒さを感じなくなる。

 下臨界温度:産熱促進

 低温適応限界:33℃

 <補足>
 43℃を超えると蛋白質の変性が起こる。
 26℃以下で神経・筋の反応がほとんど消失。


セットポイント
 体温調節中枢の設定値。
 上がれば発熱。下がれば分利(解熱)。

 <補足>
 睡眠中はセットポイントが低下するので放熱が促進される。
 よって、発汗亢進、代謝は低下。
 深い眠りほど多汗。


発熱の原因
 化学的刺激:発熱物質が体温調節中枢に作用。
         外因性発熱物質:細菌毒素、ウイルス、真菌など。
         内因性発熱物質:サイトカイン(インターロイキン、インターフェロンなど)
 機械的刺激:脳出血、脳腫瘍、頭蓋骨骨折などで体温調節中枢が傷害。
 精神的刺激:ヒステリー、神経症。


発熱物質の作用
 細菌をマクロファージが貪食C→
 マクロファージがインターロイキンⅠを分泌→
 視床下部の体温調節中枢へ→
 中枢内でアラキドン酸からプロスタグランジン産生→
 セットポイント上昇→
 発熱

 <補足>
 アスピリンはプロスタグランジンの合成を阻害することで解熱をしている。
 原因は取り除かれていない。


熱中症(うつ熱)
 熱痙攣:血液の塩分濃度低下により筋肉がつる状態。原因はNaCLの欠乏。
 熱疲労:放熱による皮膚血管拡張で血圧が低下、脳血流量減少。原因はNaCLの欠乏。
 熱射病:最も重篤。意識喪失、解熱剤にも無反応。発刊は停止する。原因は発汗機能の疲労。


気候馴化
 暑熱馴化:短期だと発汗促進、尿量減少。
        長期だと、汗腺数増大、発汗量低下、体型スリム化、皮下脂肪低下。
 寒冷馴化:皮下脂肪肥厚、基礎代謝亢進。





体温 その1

体温調節の仕組み

 温度受容器:外気温の変化を受容する。温受容器と冷受容器がある。
 温度受容ニューロン:生体内の温度変化を受容する。温ニューロンと冷ニューロンがある。

 各温度受容器で受容された情報は、視床下部の体温調節中枢で統合され、
 これに基づいた指令が神経系、内分泌系を介して産熱と放熱に関わる組織・器官に伝達される。


産熱
 1.基礎代謝
    細胞の代謝に伴う熱産生
 2.筋肉からの産熱
    筋肉運動:骨格筋による等張性運動
    筋緊張:骨格筋の持続的収縮、等尺性運動
    ふるえ産熱:骨格筋の律動的な収縮、寒い時のふるえ現象
    産生計2700kcal
    骨格筋1570
    呼吸筋240
    肝臓600
    心臓110
    腎臓120
    その他60
 3.非ふるえ産熱
    筋以外の組織の代謝による産熱。
    肝臓、心臓、腎臓など。
 4.自律神経の働きによる放熱の防止
    皮膚血管の収縮→皮膚血流量の減少
    立毛筋の収縮→鳥肌
    発汗の抑制による産熱
 5.ホルモンの作用
    サイロキシン、カテコールアミン、プロゲステロンなどで基礎代謝を促進
 6.その他
     特異動的作用:食後に発生する熱

放熱
 1.物理的現象による放熱
    輻射、伝導、対流、蒸発

    不感蒸散
     一日約1L
     皮膚に浸出してくる水分の蒸発
     気道を通り呼出される空気中への蒸発

 2.自律神経による放熱
    皮膚血管の拡張
     皮膚血流量の増加

    発汗
     交感神経により発汗は亢進する

     汗腺の種類
      エクリン腺:全身に分布。200~500万
      アポクリン腺:毛包に開口。腋窩、乳頭部、会陰部、外耳道などに分布。
            精神的緊張により分泌。

     発汗の種類
      温熱性発汗:手掌、足底を除く全身。
      精神性発汗:手掌、足底、腋窩、前額に発現。
      味覚性発汗:辛味、酸味などにより顔面に発現。   


<補足>

体温の測定
 直腸温37.0~37.5℃  > 口腔温36.5~37.0℃ > 腋窩温36.0~36.7℃

体温の日内変動幅は0.5~0.7℃

性周期で約0.5℃の範囲で変化
 月経~排卵 :低体温
 排卵      :一過性の低下
 排卵~月経  :高体温
 生理前が高くなる。

対向流熱交換系
 動脈は深部静脈との間で対向流機構が働き、動脈血は冷やされて末梢部に達する。
 しかし、静脈血は暖められて戻るので体幹部が過度に冷やされることがない。

外気温低下時に代謝亢進による産熱が必要なので、寒い地方の方が代謝がよくなる。