前回の続きで、脂肪に関する機器のコラムを書いたのだが、内容があまりにも過激なためUPはしばらく自粛することにした。
知りたい方は、当院主催のセミナーで説明するのでそちらをご利用いただければ。
そこで今回は、昨日マッサージに行って気になったことがあったので、それについて書こうと思う。
ちょっとした小ネタで、知識の有無を見極めるのに役立つので良かったら読んで欲しい。
行ったマッサージは、最近多い激安マッサージ店である。
技術がスゴい良く、さりげなく有資格者か確認したら、どうやら無資格者らしい。
激安店でこれだけの手技が受けられるのであれば、潰れる整骨院があるのも頷ける。
そこまでは良かったのだが、施術後、水を飲むかと聞かれ断ったら水分を多く摂ることを勧められた。
老廃物が出やすくなるそうだ。
その後うんちくを少々。
勿体ない。
手技のレベルはそこら辺の整骨院よりあると感じたのに、知識で有資格者との差が出てしまう。
スゴく良い人だったので、教えてあげたかった。
といことで、今回は「マッサージ後に水分を摂った方が良いの?」について書いて行きたい。
読むのが面倒な方のために結論から書いてしまおう。
どちらでも変わらないので飲みたくないのに無理して飲む必要は全くない。
その時ノドが乾いていたら飲めばくらいの感じである。
では説明して行こう。
糸球体という体液をろ過する場所に流入する血液量は1分間に約1300mlになる。
そのうち、皆が言う老廃物が含まれているであろう血漿量は約650ml。
その中から約1/5がろ過されるので糸球体ろ過量は1分間に約125mlとなる。
そして、ポイントはここである。
血圧が80~200mmHgの範囲で変動しても、輸入細動脈の血管抵抗が変化し糸球体毛細血管内の血液量は一定に保たれているのである。
これは、水を多く摂取して血圧や血液量に変化が出たところで、ろ過をする部分には何の影響も出ないことを表している。
よって、マッサージをした後に水分を多く摂ったところでおしっこが出やすくはなっても、それによって含まれる老廃物の量に変化が出るということはないのである。
<結論>
どちらでも変わらないので、ノドが乾いてたら飲めば良い。
昨日担当してくれた人が、いつかこのコラムを読んでくれることを願う。
2017/01/09
メソセラピー
先日、患者さんが知人に美容鍼を紹介したところ、クリニックで脂肪を溶かす注射をやろうか考えていると言われたそうである。
で、ネットで色々調べたところ口コミでもかなり賛否両論なので、実際どうなんですかという質問を頂いた。
実際に脂肪溶解と検索すると注射、機械、クリームなど色々出て来る。
クリームはやるまでもなさそうなので、注射や機械を生理学的に考察して行きたい。
まず、今回は注射について。
脂肪溶解注射(メソセラピー)を調べると、脂肪にダイレクトに注入することで脂肪細胞を破壊し脂肪を溶解するとある。
注入する薬剤を調べてみると、クリニックによって配合が様々だとか。
そこでメジャーな薬剤で見てみると、「フォスファチジルコリン」「L-カルニチン」「リドカイン」などを配合しているようだ。
まず「フォスファチジルコリン」の主な成分は大豆を原料にしたレシチンである。
レシチンにはどんな効果があるかというと、脂肪を分解しやすいように乳化する作用がある。
また、脂肪がエネルギーとして利用される為に血液中を移動する際、タンパク質と結合してリポタンパク質となる必要がある。
この際にタンパク質と脂肪を結びつけるのがレシチンである。
では次に、「L-カルニチン」は脂肪酸をミトコンドリアに運搬する役割を担う。
その後、運ばれた脂肪酸はアセチルCoA、TCA回路を経てエネルギー(ATP)になる。
「リドカイン」は痛み止めである。
どこのサイトを見てもレシチンに脂肪を分解する作用があるように記述されているが、実際はレシチンそのものに脂肪を分解する作用はない。
あくまでも、一般の人に分かりやすいように簡略化して書いているだけだろう。
そのため、溶解と分解という言葉が同じような意味合いで使われてしまっているのだ。
実際は溶解と分解では意味が全く違う。
ここで使われている溶解という言葉は乳化レベルのことなのであろう。
よって、メソセラピーによる過程は、
「フォスファチジルコリン」によって乳化された脂肪をリパーゼが分解し、分解されて出来た脂肪酸を「L-カルニチン」がミトコンドリアに運搬。
そして脂肪酸がアセチルCoA、TCA回路を経らてエネルギー(ATP)となる。
ここで気になることが一点。
そもそもエネルギーの過剰が原因で中性脂肪という形で保存しましょうとなったのに、エネルギー消費無しの状態で分解して用意したところで、また中性脂肪として再合成されるだけではないだろうか。
これはもはや、プロテインの考え方と同じである。
プロテインは、飲むだけで筋肉が付くわけではなく、筋トレをしている人がより筋肉を大きくしたい時に摂ることで効果を有するものである。
以上のことから、全く運動をしていない人がメソセラピーを受けても大した効果は期待出来ないが、運動している人がより脂肪を減らしたい時に受けると非常に効果的であると考察する。
補足として、先にも述べた様にクリニックによって配合が違うようなので、気になる方は受診するクリニックに確認してみて欲しい。
で、ネットで色々調べたところ口コミでもかなり賛否両論なので、実際どうなんですかという質問を頂いた。
実際に脂肪溶解と検索すると注射、機械、クリームなど色々出て来る。
クリームはやるまでもなさそうなので、注射や機械を生理学的に考察して行きたい。
まず、今回は注射について。
脂肪溶解注射(メソセラピー)を調べると、脂肪にダイレクトに注入することで脂肪細胞を破壊し脂肪を溶解するとある。
注入する薬剤を調べてみると、クリニックによって配合が様々だとか。
そこでメジャーな薬剤で見てみると、「フォスファチジルコリン」「L-カルニチン」「リドカイン」などを配合しているようだ。
まず「フォスファチジルコリン」の主な成分は大豆を原料にしたレシチンである。
レシチンにはどんな効果があるかというと、脂肪を分解しやすいように乳化する作用がある。
また、脂肪がエネルギーとして利用される為に血液中を移動する際、タンパク質と結合してリポタンパク質となる必要がある。
この際にタンパク質と脂肪を結びつけるのがレシチンである。
では次に、「L-カルニチン」は脂肪酸をミトコンドリアに運搬する役割を担う。
その後、運ばれた脂肪酸はアセチルCoA、TCA回路を経てエネルギー(ATP)になる。
「リドカイン」は痛み止めである。
どこのサイトを見てもレシチンに脂肪を分解する作用があるように記述されているが、実際はレシチンそのものに脂肪を分解する作用はない。
あくまでも、一般の人に分かりやすいように簡略化して書いているだけだろう。
実際は溶解と分解では意味が全く違う。
ここで使われている溶解という言葉は乳化レベルのことなのであろう。
よって、メソセラピーによる過程は、
「フォスファチジルコリン」によって乳化された脂肪をリパーゼが分解し、分解されて出来た脂肪酸を「L-カルニチン」がミトコンドリアに運搬。
そして脂肪酸がアセチルCoA、TCA回路を経らてエネルギー(ATP)となる。
ここで気になることが一点。
そもそもエネルギーの過剰が原因で中性脂肪という形で保存しましょうとなったのに、エネルギー消費無しの状態で分解して用意したところで、また中性脂肪として再合成されるだけではないだろうか。
これはもはや、プロテインの考え方と同じである。
プロテインは、飲むだけで筋肉が付くわけではなく、筋トレをしている人がより筋肉を大きくしたい時に摂ることで効果を有するものである。
以上のことから、全く運動をしていない人がメソセラピーを受けても大した効果は期待出来ないが、運動している人がより脂肪を減らしたい時に受けると非常に効果的であると考察する。
補足として、先にも述べた様にクリニックによって配合が違うようなので、気になる方は受診するクリニックに確認してみて欲しい。
中性脂肪
<生成>
グルコースが解糖系でピルビン酸に分解され、ミトコンドリア内でアセチルCoAになり、アセチルCoAはクエン酸シンターゼによりクエン酸に変換、TCA回路を経てATPが生成される。
このときATPが過剰だとTCA回路のイソクエン酸デヒドロゲナーゼの酵素活性が抑制され、TCA回路の代謝が抑制される。
すると、ミトコンドリア内にクエン酸が蓄積。
蓄積したクエン酸はミトコンドリアのマトリックスから細胞質基質に輸送されアセチルCoAに戻される。
そして、アセチルCoAはマロニルCoA、アシルACPを経てパルミチン酸などの脂肪酸になる。
脂肪酸はグリセロールとエステル結合してトリグリセリド(中性脂肪)になる。
<分解>
トリグリセリド(中性脂肪)は、循環アドレナリン(エピネフリン)によって活性化された脂肪細胞内のリパーゼにより脂肪酸とグリセロールに加水分解される。
脂肪酸は細胞質内でアシルCoAになりL-カルニチンによってミトコンドリアに運搬されβ酸化されアセチルCoAとなる。
その後、TCA酸回路を経てエネルギー(ATP)になる。
また、絶食時やブドウ糖が少ないときはアセチルCoAをTCA回路で処理する際に必要なオキサロ酢酸が作れないためTCA回路が十分に回らない。
処理出来なかった過剰なアセチルCoAは肝臓でケトン体の合成に回される。
肝臓はケトン体を作り出すが、自分で消費しないよう酵素が欠けているので自身のエネルギー源としては利用できない。
グルコースが解糖系でピルビン酸に分解され、ミトコンドリア内でアセチルCoAになり、アセチルCoAはクエン酸シンターゼによりクエン酸に変換、TCA回路を経てATPが生成される。
このときATPが過剰だとTCA回路のイソクエン酸デヒドロゲナーゼの酵素活性が抑制され、TCA回路の代謝が抑制される。
すると、ミトコンドリア内にクエン酸が蓄積。
蓄積したクエン酸はミトコンドリアのマトリックスから細胞質基質に輸送されアセチルCoAに戻される。
そして、アセチルCoAはマロニルCoA、アシルACPを経てパルミチン酸などの脂肪酸になる。
脂肪酸はグリセロールとエステル結合してトリグリセリド(中性脂肪)になる。
<分解>
トリグリセリド(中性脂肪)は、循環アドレナリン(エピネフリン)によって活性化された脂肪細胞内のリパーゼにより脂肪酸とグリセロールに加水分解される。
脂肪酸は細胞質内でアシルCoAになりL-カルニチンによってミトコンドリアに運搬されβ酸化されアセチルCoAとなる。
その後、TCA酸回路を経てエネルギー(ATP)になる。
また、絶食時やブドウ糖が少ないときはアセチルCoAをTCA回路で処理する際に必要なオキサロ酢酸が作れないためTCA回路が十分に回らない。
処理出来なかった過剰なアセチルCoAは肝臓でケトン体の合成に回される。
肝臓はケトン体を作り出すが、自分で消費しないよう酵素が欠けているので自身のエネルギー源としては利用できない。
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