2017/01/09

メソセラピー

先日、患者さんが知人に美容鍼を紹介したところ、クリニックで脂肪を溶かす注射をやろうか考えていると言われたそうである。

で、ネットで色々調べたところ口コミでもかなり賛否両論なので、実際どうなんですかという質問を頂いた。

実際に脂肪溶解と検索すると注射、機械、クリームなど色々出て来る。

クリームはやるまでもなさそうなので、注射や機械を生理学的に考察して行きたい。

まず、今回は注射について。

脂肪溶解注射(メソセラピー)を調べると、脂肪にダイレクトに注入することで脂肪細胞を破壊し脂肪を溶解するとある。

注入する薬剤を調べてみると、クリニックによって配合が様々だとか。

そこでメジャーな薬剤で見てみると、「フォスファチジルコリン」「L-カルニチン」「リドカイン」などを配合しているようだ。

まず「フォスファチジルコリン」の主な成分は大豆を原料にしたレシチンである。

レシチンにはどんな効果があるかというと、脂肪を分解しやすいように乳化する作用がある。

また、脂肪がエネルギーとして利用される為に血液中を移動する際、タンパク質と結合してリポタンパク質となる必要がある。

この際にタンパク質と脂肪を結びつけるのがレシチンである。

では次に、「L-カルニチン」は脂肪酸をミトコンドリアに運搬する役割を担う。

その後、運ばれた脂肪酸はアセチルCoA、TCA回路を経てエネルギー(ATP)になる。

「リドカイン」は痛み止めである。

どこのサイトを見てもレシチンに脂肪を分解する作用があるように記述されているが、実際はレシチンそのものに脂肪を分解する作用はない。

あくまでも、一般の人に分かりやすいように簡略化して書いているだけだろう。

そのため、溶解と分解という言葉が同じような意味合いで使われてしまっているのだ。

実際は溶解と分解では意味が全く違う。

ここで使われている溶解という言葉は乳化レベルのことなのであろう。

よって、メソセラピーによる過程は、

「フォスファチジルコリン」によって乳化された脂肪をリパーゼが分解し、分解されて出来た脂肪酸を「L-カルニチン」がミトコンドリアに運搬。

そして脂肪酸がアセチルCoA、TCA回路を経らてエネルギー(ATP)となる。

ここで気になることが一点。

そもそもエネルギーの過剰が原因で中性脂肪という形で保存しましょうとなったのに、エネルギー消費無しの状態で分解して用意したところで、また中性脂肪として再合成されるだけではないだろうか。

これはもはや、プロテインの考え方と同じである。

プロテインは、飲むだけで筋肉が付くわけではなく、筋トレをしている人がより筋肉を大きくしたい時に摂ることで効果を有するものである。

以上のことから、全く運動をしていない人がメソセラピーを受けても大した効果は期待出来ないが、運動している人がより脂肪を減らしたい時に受けると非常に効果的であると考察する。

補足として、先にも述べた様にクリニックによって配合が違うようなので、気になる方は受診するクリニックに確認してみて欲しい。







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