2017/01/19

マッサージ後の飲水

前回の続きで、脂肪に関する機器のコラムを書いたのだが、内容があまりにも過激なためUPはしばらく自粛することにした。

知りたい方は、当院主催のセミナーで説明するのでそちらをご利用いただければ。

そこで今回は、昨日マッサージに行って気になったことがあったので、それについて書こうと思う。

ちょっとした小ネタで、知識の有無を見極めるのに役立つので良かったら読んで欲しい。

行ったマッサージは、最近多い激安マッサージ店である。

技術がスゴい良く、さりげなく有資格者か確認したら、どうやら無資格者らしい。

激安店でこれだけの手技が受けられるのであれば、潰れる整骨院があるのも頷ける。

そこまでは良かったのだが、施術後、水を飲むかと聞かれ断ったら水分を多く摂ることを勧められた。

老廃物が出やすくなるそうだ。

その後うんちくを少々。

勿体ない。

手技のレベルはそこら辺の整骨院よりあると感じたのに、知識で有資格者との差が出てしまう。

スゴく良い人だったので、教えてあげたかった。

といことで、今回は「マッサージ後に水分を摂った方が良いの?」について書いて行きたい。

読むのが面倒な方のために結論から書いてしまおう。

どちらでも変わらないので飲みたくないのに無理して飲む必要は全くない。

その時ノドが乾いていたら飲めばくらいの感じである。

では説明して行こう。

糸球体という体液をろ過する場所に流入する血液量は1分間に約1300mlになる。

そのうち、皆が言う老廃物が含まれているであろう血漿量は約650ml。

その中から約1/5がろ過されるので糸球体ろ過量は1分間に約125mlとなる。

そして、ポイントはここである。

血圧が80~200mmHgの範囲で変動しても、輸入細動脈の血管抵抗が変化し糸球体毛細血管内の血液量は一定に保たれているのである。

これは、水を多く摂取して血圧や血液量に変化が出たところで、ろ過をする部分には何の影響も出ないことを表している。

よって、マッサージをした後に水分を多く摂ったところでおしっこが出やすくはなっても、それによって含まれる老廃物の量に変化が出るということはないのである。

<結論>

どちらでも変わらないので、ノドが乾いてたら飲めば良い。

昨日担当してくれた人が、いつかこのコラムを読んでくれることを願う。





2017/01/09

メソセラピー

先日、患者さんが知人に美容鍼を紹介したところ、クリニックで脂肪を溶かす注射をやろうか考えていると言われたそうである。

で、ネットで色々調べたところ口コミでもかなり賛否両論なので、実際どうなんですかという質問を頂いた。

実際に脂肪溶解と検索すると注射、機械、クリームなど色々出て来る。

クリームはやるまでもなさそうなので、注射や機械を生理学的に考察して行きたい。

まず、今回は注射について。

脂肪溶解注射(メソセラピー)を調べると、脂肪にダイレクトに注入することで脂肪細胞を破壊し脂肪を溶解するとある。

注入する薬剤を調べてみると、クリニックによって配合が様々だとか。

そこでメジャーな薬剤で見てみると、「フォスファチジルコリン」「L-カルニチン」「リドカイン」などを配合しているようだ。

まず「フォスファチジルコリン」の主な成分は大豆を原料にしたレシチンである。

レシチンにはどんな効果があるかというと、脂肪を分解しやすいように乳化する作用がある。

また、脂肪がエネルギーとして利用される為に血液中を移動する際、タンパク質と結合してリポタンパク質となる必要がある。

この際にタンパク質と脂肪を結びつけるのがレシチンである。

では次に、「L-カルニチン」は脂肪酸をミトコンドリアに運搬する役割を担う。

その後、運ばれた脂肪酸はアセチルCoA、TCA酸回路を経てエネルギー(ATP)になる。

「リドカイン」は痛み止めである。

どこのサイトを見てもレシチンに脂肪を分解する作用があるように記述されているが、実際はレシチンそのものに脂肪を分解する作用はない。

あくまでも、一般の人に分かりやすいように簡略化して書いているだけだろう。

そのため、溶解と分解という言葉が同じような意味合いで使われてしまっているのだ。

実際は溶解と分解では意味が全く違う。

ここで使われている溶解という言葉は乳化レベルのことなのであろう。

よって、メソセラピーによる過程は、

「フォスファチジルコリン」によって乳化された脂肪をリパーゼが分解し、分解されて出来た脂肪酸を「L-カルニチン」がミトコンドリアに運搬。

そして脂肪酸がアセチルCoA、TCA酸回路を経らてエネルギー(ATP)となる。

ここで気になることが一点。

そもそもエネルギーの過剰が原因で中性脂肪という形で保存しましょうとなったのに、エネルギー消費無しの状態で分解して用意したところで、また中性脂肪として再合成されるだけではないだろうか。

これはもはや、プロテインの考え方と同じである。

プロテインは、飲むだけで筋肉が付くわけではなく、筋トレをしている人がより筋肉を大きくしたい時に摂ることで効果を有するものである。

以上のことから、全く運動をしていない人がメソセラピーを受けても大した効果は期待出来ないが、運動している人がより脂肪を減らしたい時に受けると非常に効果的であると考察する。

補足として、先にも述べた様にクリニックによって配合が違うようなので、気になる方は受診するクリニックに確認してみて欲しい。







中性脂肪

<生成>

グルコースが解糖系でピルビン酸に分解され、ミトコンドリア内でアセチルCoAになり、アセチルCoAはクエン酸シンターゼによりクエン酸に変換、TCA回路を経てATPが生成される。

このときATPが過剰だとTCA回路のイソクエン酸デヒドロゲナーゼの酵素活性が抑制され、TCA回路の代謝が抑制される。

すると、ミトコンドリア内にクエン酸が蓄積。

蓄積したクエン酸はミトコンドリアのマトリックスから細胞質基質に輸送されアセチルCoAに戻される。

そして、アセチルCoAはマロニルCoA、アシルACPを経てパルミチン酸などの脂肪酸になる。

脂肪酸はグリセロールとエステル結合してトリグリセリド(中性脂肪)になる。



<分解>

トリグリセリド(中性脂肪)は、循環アドレナリン(エピネフリン)によって活性化された脂肪細胞内のリパーゼにより脂肪酸とグリセロールに加水分解される。

脂肪酸は細胞質内でアシルCoAになりL-カルニチンによってミトコンドリアに運搬されβ酸化されアセチルCoAとなる。

その後、TCA酸回路を経てエネルギー(ATP)になる。

また、絶食時やブドウ糖が少ないときはアセチルCoAをTCA回路で処理する際に必要なオキサロ酢酸が作れないためTCA回路が十分に回らない。

処理出来なかった過剰なアセチルCoAは肝臓でケトン体の合成に回される。

肝臓はケトン体を作り出すが、自分で消費しないよう酵素が欠けているので自身のエネルギー源としては利用できない。





2016/12/12

起因と過程

健康ブームが一過性のものから日常的なものになり多くの雑学が出回っている。

何を信じるかは人それぞれ自由なので構わない。

しかし、せめて当院の患者さんには正しい知識を知って欲しい。

一回の来院で色々な話をしても、知識として持って帰れるものは意外と少ない。

ほとんどの人が、後から何だっけと忘れてしまう。

そんな時は、私が書いて来たコラムを参考にして欲しい。

内容は全て、その時の医学に準拠した内容になっている。

人の体で何か反応が起きるとき、そこには必ず起因(スイッチ)と過程(プロセス)が存在する。

これが無いということは、医学的根拠が無いということだ。

どんなものにも存在する。

例えば…

「ケガをして痛い。」

このごく日常に起こる反応の中にも起因と過程が存在する。

通常、ケガをすると組織、細胞が破壊される。

このとき、血漿内でプレカリクレインが、血管内皮の損傷で活性化されたハーゲマン因子によってカリクレインとなる。

カリクレインが、キニノーゲン(α2グロブリン分画)のペプチド結合を加水分解してブラジキニン(発痛物質)を作る。

同時に、破壊された細胞の膜を構成していたリン脂質がアラキドン酸カスケードを経て、プロスタグランジンE2(発痛助物質)になる。

これらが、侵害受容器(痛みの神経)に作用し、活動電位が発生。

神経を上行して脳が痛みを受容する。

一般の人は、「ケガをして」というスタートと「痛い」というゴールだけを見ているが、我々プロは、常にその間を見ている。





<補足>
アラキドン酸カスケード
リン脂質にエステル結合しているアラキドン酸がホスホリパーゼA2(PLA2)によって遊離され、シクロオキシゲナーゼ(COX)より代謝され、プロスタグランジンG2、プロスタグランジンH2へと変わる。
そして、プロスタグランジンE合成酵素(PGES)に代謝されプロスタグランジンE2へと変わる。





2016/11/24

免疫 その2

免疫抑制の機序

大阪大学免疫学フロンティア研究センターの鈴木一博准教授らが分子レベルで実証。


リンパ球はリンパ節から脱出し、血流に乗って体内を循環して免疫作用を発揮する。

交感神経の節後繊維から放出されたノルアドレナリンがリンパ球の細胞膜にあるβ2アドレナリン受容体に反応し、リンパ球の働きをコントロールするケモカイン受容体と細胞膜で相互作用して、リンパ球のリンパ節からの脱出を抑制する。
よって、交感神経優位で免疫力が低下する。



<補足>


リンパ球の細胞膜にはβ2アドレナリン受容体がある。

β2アドレナリン受容体は、細胞の移動を促す分子であるケモカインの受容体CCR7、CXCR4と複合体を形成する。
ケモカイン受容体が働くと、リンパ球のリンパ節への保持が促される。

交感神経節前繊維(コリン作動性ニューロン)からアセチルコリンが放出→

交感神経節後繊維(アドレナリン作動性ニューロン)のニコチン受容体が受容
交感神経節後繊維(アドレナリン作動性ニューロン)がノルアドレナリンを放出
効果器のα、β1、β2受容体が受容
αはノルアドと、βはアドと親和性が高い

副交感神経節前繊維(コリン作動性ニューロン)からアセチルコリンが放出

副交感神経節後繊維(コリン作動性ニューロン)のニコチン受容体が受容
副交感神経節後繊維(コリン作動性ニューロン)がアセチルコリンを放出
効果器のムスカリン受容体が受容

アドレナリン作動性ニューロンからはアドレナリンは直接出ない。

循環アドレナリンによって反応。

副腎髄質は交感神経系の神経節である。

副腎髄質にはアセチルコリンの受容体(ニコチン?)があり、交感神経節前線維が放出するアセチルコリンを受け取る。
それにより髄質は血液中にアドとノルアドを17:3の割合で放出。
そのアドレナリンが循環して骨格筋のβ受容体などに反応し血管が拡張。