2014/07/28

吸収

小腸の吸収機構

刷子縁

 輪状ヒダ→絨毛→微絨毛

微絨毛の中に血管網とリンパ管を持つ。



・糖質の吸収


消化可能な糖質と、非消化型の食物繊維に分けられる。

糖質は、最終的には単糖に分解されて吸収される。
単糖には、グルコース(ブドウ糖)、ガラクトース、フルクトース(果糖)がある。
ブドウ糖とガラクトースはNa+と担体(輸送体)、ATPを伴う能動輸送で上皮に吸収。
果糖は担体を伴う受動輸送(促進拡散)で上皮に吸収。
上皮から毛細血管へは促進拡散で輸送される。


・脂質の吸収


中性脂肪(トリグリセリド)は、脂肪酸とモノグリセリドに分解され、胆汁酸の作用でミセルを形成し受動輸送(単純拡散)で上皮内に吸収される。

そして、上皮内の滑面小胞体で中性脂肪に再合成される。
その後、ゴルジ装置でキロミクロン(リポ蛋白)が形成され、細胞内を移動して細胞膜と接すると膜同士で癒合して開放されリンパ管(乳糜管)に入る。


・蛋白質の吸収


蛋白質はアミノ酸にまで分解され、その種類ごとに大半は能動輸送、わずかに受動輸送(単純拡散)で上皮に吸収。

上皮からは担体を介した能動輸送で毛細血管に入る。
ジペプチド、トリペプチドの状態でも吸収される。
一部、腸管壁の飲・食作用で蛋白質のまま吸収され、食物アレルギーが発症する。


・水の吸収


ほとんどが小腸で吸収。

わずかに大腸で吸収。
吸収は単純拡散。


・塩基(電解質・ミネラル)の吸収


一価、二価は吸収されやすいが三価は吸収されにくい。



・ビタミンの吸収


脂溶性ビタミンは脂質同様、ミセルの中に取り込まれ単純拡散で吸収される。


2014/07/21

消化 その2 

外分泌腺(消化酵素・粘液)

唾液

 PH6.8

 プチアリン

 ムチン
 パロチン・・・骨、歯の発育を促すホルモン様物質

         プチアリン

           ↓
 ・でんぷん→→→→マルトース(麦芽糖)


胃液

 PH1~2

 ペプシノゲン(主細胞)

 ムチン(副細胞)・・・胃粘膜保護
 塩酸(壁細胞) 
 内因子(壁細胞)・・・ビタミンB12の吸収に必要

           塩酸

             ↓
 ・ペプシノゲン→→→→ペプシン  
                     ↓
         タンパク質→→→→ペプトン


膵液

 PH8.5

 炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)・・・胃酸を中和

 エンテロキナーゼ
 トリプシノゲン
 キモトリプシノゲン
 アミロプシン
 ステアプシン
 ヌクレアーゼ 

 糖質の分解

       アミロプシン
          ↓
 ・でんぷん→→→→マルトース

 脂質の分解

       ステアプシン
           ↓
 ・中性脂肪→→→→脂肪酸+グリセロール

 蛋白質の分解

       エンテロキナーゼ
               ↓
 ・トリプシノゲン→→→→トリプシン
                   ↓
           蛋白質→→→→ポリペプチド    

             トリプシン

                  ↓
 ・キモトリプシノゲン→→→→キモトリプシン
                      ↓
               蛋白質→→→→ポリペプチド

     カルボキシペプチターゼ

            ↓
 ・ポリペプチド→→→→ジペプチド

 核酸の分解

    ヌクレアーゼ
       ↓  
 ・核酸→→→→ヌクレオチド


胆汁

 PH8
 肝臓で生成され、胆嚢で約8倍に濃縮。
  胆管を通って十二指腸に排出。
  消化酵素の働きを助ける。
 脂肪の消化・吸収を促進する。
 成分の胆汁酸は脂肪を乳化し、小腸から吸収されやすいようにする。


腸液

 PH7~8.5
 ブルンネル腺(十二指腸上部)が胃酸の中和
 リーベルキューン腺(小腸全体)が化学的消化の最後の仕上げをする。

 アミノペプチターゼ

 ラクターゼ
 サッカラーゼ
 マルターゼ
 リパーゼ

 糖質の分解

             マルターゼ
                ↓
 ・マルトース(麦芽糖)→→→→ブドウ糖+ブドウ糖(グルコース)

              ラクターゼ

              ↓
 ・ラクトース(乳糖)→→→→ブドウ糖+ガラクトース

              サッカラーゼ

                 ↓
 ・スクロース(ショ糖)→→→→ブドウ糖+フルクトース(果糖)

 脂質の分解

           リパーゼ
          ↓
 ・中性脂→→→→肪脂肪酸+グリセロール 

 蛋白質の分解

      アミノペプチターゼ
           ↓
・ポリペプチド→→→→アミノ酸

     ジペプチターゼ

         ↓
・ジペプチド→→→→アミノ酸

核酸の分解

  ヌクレアーゼ
       ↓
・核酸→→→→ヌクレオチド


大腸液

 PH8.5
 粘膜の保護、及び糞便の移送を容易にする。



内分泌腺(消化管ホルモン)


 分泌された部位より上を抑制

 分泌された部位より下を促進

ガストリン・・・胃液分泌促進

セクレチン・・・胃液分泌抑制、膵液分泌促進
コレシストキニン・・・膵液、胆汁分泌促進
GIP
VIP
モチリン
ソマトスタチン・・・消化液分泌抑制

2014/07/14

消化 その1

消化管の構造(内側より)

粘膜上皮・・・重層扁平上皮→口腔・食道・直腸下部などの強い機械的刺激を受ける部位

単層円柱上皮・・・胃・腸などの消化吸収の作用が著しい部位
粘膜固有層
粘膜筋板
粘膜下層
血管・リンパ管
マイスナー神経叢・・・粘膜分泌と絨毛運動を調節
輪走筋
アウエルバッハ神経叢・・・消化管運動を調節
縦走筋
漿膜

*胃には斜走筋もある。

 また、食道の外表は外膜と呼ばれ疎性結合組織で覆われ、他の組織と癒着する。


胃では

 軟らかい液状の食物は、直ちに排出が始まり、食後10分ほどで排出される。
 固形物は、排出開始まで1時間近くかかり、食後3~6時間で排出される。

小腸では

 糜汁の移送速度は10cm/分以下。
 小腸内を通過するのに4~15時間かかる。

大腸では

 食物滞留時間は、健康成人男性で約30~40時間、女性で約40~50時間。


反射の種類

 胃底-幽門洞反射・・・20秒に一回の蠕動波
 腸-胃抑制反射・・・徐々に送り出すため
 胃-回腸反射・・・食物摂取により回盲弁が開く
 腸-腸管反射・・・消化吸収作用を十分に行わせるため
 胃-結腸反射・・・横行結腸からS状結腸にかけての一日1~2回の大蠕動

2014/07/07

呼吸

呼吸は吸息(すう)と呼息(はく)に分けられる。

安静時の吸息は、主吸息筋の外肋間筋、横隔膜が、


深呼吸などの努力性吸息には、補助吸息筋の斜角筋、胸鎖乳突筋、肋骨挙筋、大・小胸筋、脊柱起立筋が収縮して胸部が拡大、肺胞内が陰圧になり空気が入る。


安静時の呼息は、主吸息筋の弛緩による受動的な呼息で筋収縮は伴わない。


努力性呼息は内肋間筋、外・内腹斜筋、腹横筋、腹直筋の収縮により胸部が縮小し肺胞内から空気が出る。


多くの人は吸っているのは酸素だけと思っている。


しかし、実際は違う。


吸気 O2  21%

    CO2 0.003%
    N2  79%

呼気 O2  16%

    CO2 4%
    N2  79%

吸っている空気のうち、O2が占める割合はたったの21%だけである。

一回換気量は約500ml。


500×(0.21-0.16)=25


一回の呼吸で取り入れられるO2の量は、25ml。



また、1gのヘモグロビンは1.34mlのO2を運ぶ。


動脈血100ml中には約15gのヘモグロビンが存在する。


よって、1.34×15=20.1ml/100ml


動脈血中のO2=約20ml/100ml


静脈血中のO2=約15ml/100ml


20-15=5

よって、約5ml/100mlのO2が組織内のミトコンドリアに供給されている。



体では、O2を使い吸収した栄養素を燃やすことで様々な代謝が行われている。

さらに、頸動脈小体、大動脈体が血液中のO2の低下に、延髄が脳脊髄液中のCO2の増加に敏感に反応しながら呼吸を促進させ常に調節している。




<補足>


肺胞 球状で直径0.1mm  両肺で約3~6億個


安静時成人の呼吸数は平均16回/分。


よって毎分約8Lの量が換気されている。