2018/01/10

解糖系

解糖系は細胞質で1分子のグルコースから2分子のピルビン酸が生成される過程をいいます。
グルコースからピルビン酸への過程は以下になります。

グルコース
グルコース-6-リン酸
フルクトース-6-リン酸
フルクトース-1,6-ビスリン酸
グリセルアルデヒド-3-リン酸+ジヒドロキシアセトンリン酸
1-3-ビスホスホグリセリン酸
3-ホスホグリセリン酸
2-ホスホグリセリン酸
ホスホエノールピルビン酸
ピルビン酸

解糖系準備期

まず、グルコースからグルコース-6-リン酸の生成には、一般的にはヘキソキナーゼという酵素とMgatp2-(ATP4-とMg2+)が必要になります。
肝臓のグルコキナーゼ(ヘキソキナーゼⅣ)はグルコース濃度が高くなると触媒し始めます。
ATP(C10H16N5O13P3)が加水分解されADPとリン酸(H3PO4)が出来ます。
C10H16N5O13P3+H2O→C10H15N5O10P2+H3PO4
取れたリン酸がグルコースの6位の水素に結合し、グルコース-6-リン酸(C6H13O9P)が出来ます。
C6H12O6+H3PO4→C6H13O9P+H2O
このリン酸化が直ちに起こるのは、グルコースが細胞外に拡散してしまうのを防ぐためです。
リン酸化により電荷が導入されるので、グルコース-6-リン酸は容易に細胞膜を通過することができません。
細胞内のグルコース濃度は細胞外より低濃度に保たれてます。
これは細胞外へのグルコースの流出を防ぎ、細胞内への膜輸送を促進するためです。

グルコース-6-リン酸からフルクトース-6-リン酸の生成には、グルコース-6-リン酸イソメラーゼという酵素と、Mg2+が必要です。
グルコース-6-リン酸イソメラーゼは、グルコース-6-リン酸のαアノマー(α-D-グルコピラノース-6-リン酸)に優先的に結合し環を開けたあと、アルドースからケトースへと転換させます。
C6H13O9Pの分子式は変わりません。

フルクトース-6-リン酸からフルクトース1,6-ビスリン酸の生成には、ホスホフルクトキナーゼとMgatp2-(ATP4-とMg2+)が必要です。
ここでもATPからリン酸が加水分解され、フルクトース-6-リン酸の1位の水素に結合し、フルクトース-1,6-ビスリン酸(C6H14O12P2)が出来ます。
C6H13O9P+H3PO4→C6H14O12P2+H2O
フルクトース、マンノースなどのヘキソースはフルクトース-6-リン酸になることで解糖系
に入れるようになります。
解糖系のすべての基質がこの反応から合流します。

フルクトース-1,6-ビスリン酸は、アルドラーゼという酵素によって炭素の3番4番の結合が切れ、グリセルアルデヒド-3-リン酸とジヒドロキシアセトンリン酸に分かれます。
C6H14O12P2→C3H7O6P+C3H7O6P
分子式はどちらも同じです。

ジヒドロキシアセトンリン酸はそのままでは解糖系を進めないので、トリオースリン酸イソメラーゼという酵素によりグリセルアルデヒド-3-リン酸(C3H7O6P)に変えられます。
C3H7O6P→C3H7O6P

解糖系報酬期

グリセルアルデヒド-3-リン酸から1,3-ビスホスホグリセリン酸の生成には、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼという酵素とリン酸とNAD+が必要です。
グリセルアルデヒド-3-リン酸が酸化し水素が抜けNAD+がNADH+H+になり、リン酸が付き1,3-ビスホスホグリセリン酸(C3H8O10P2)が出来ます。
C3H7O6P+H3PO4→C3H8O10P2+2H

1,3-ビスホスホグリセリン酸から3-ホスホグリセリン酸の生成には、ホスホグリセリン酸キナーゼという酵素とADPとMg2+が必要になります。
1,3-ビスホスホグリセリン酸から加水分解によりリン酸が取れてADPに渡され、ADPがATPになります。
リン酸が取れた1,3-ビスホスホグリセリン酸は、3-ホスホグリセリン酸(C3H7O7P)となります。
C3H8O10P2−H3PO4+H2O→C3H7O7P

3-ホスホグリセリン酸から2-ホスホグリセリン酸の生成には、ホスホグリセリン酸ムターゼ
という酵素とMg2+が必要になります。
3番目の炭素に付いていたリン酸を2番目の炭素に移動して2-ホスホグリセリン酸(C3H7O7P)が出来ます。
動物の場合、触媒反応を開始するためには中間体の2,3-ビスホスホグリセリン酸が常に少量細胞内に蓄えられていなくてはなりません。
C3H7O7P→C3H7O7P

2-ホスホグリセリン酸からホスホエノールピルビン酸の生成には、エノラーゼ(ホスホピルビン酸ヒドラターゼ)という酵素と、2つのMg2+が必要になります。
ホスホピルビン酸ヒドラターゼにより、炭素の2番目からHと3番目からOHを引き抜き脱水し、ホスホエノールピルビン酸(C3H5O6P)が出来ます。
C3H7O7P−H2O→C3H5O6P

ホスホエノールピルビン酸からピルビン酸の生成には、ピルビン酸キナーゼという酵素とADP、そして、K+、Mg2+かMn2+が必要になります。
ホスホエノールピルビン酸が加水分解されリン酸が取れてADPがATPになります。
ホスホエノールピルビン酸はリン酸が取れてピルビン酸(C3H4O3)になります。
C3H5O6P+H2O→C3H4O3+H3PO4

解糖系においては、2ATPを使い4ATPを回収します。
以上が、解糖系になります。






2018/01/07

マグネシウム

マグネシウム(Mg2+)は、ミネラルの一つで骨や歯の形成に必要な元素です。
そんな中、生化学の教科書には神経や筋肉の興奮性を低下させると書かれている事も多いのですが、その書き方ゆえ多くの人がマグネシウム自体にその能力があると勘違いしてしまいます。
確かに間違いではないのですが、かなり簡略化した書き方であり、実際はあくまでも補助因子として働いているに過ぎません。
例えば…
筋肉の興奮性を低下させる。
本来、筋肉が弛緩するには筋小胞体にCa2+が回収されなくてはならないのですが、この回収時にATPが必要になります。
そのATPが枯渇すると筋肉は弛緩しづらくなり、興奮性が低下しません。
そのため、筋肉の興奮性を低下させるためにまずATPが必要になります。
Mg2+はそのATPを生成する過程で必要になるのです。
よって、直接的に筋肉の興奮性を低下させるのではなく、間接的に関係して来ます。
まずグルコースからATPを生成するのですが、ATPを生成するにあたりATPが必要になるという少し矛盾した感じになります。
これは分かりやすく言うと、少量のATPを使ってその後多量のATPを回収するといった感じです。
そのATPを使う際にMg2+が必要になります。

グルコース+ATP→グルコース6リン酸+ADP

グルコースがATPと反応してP(リン酸基)とくっ付くことでADPを押し出します。(求核攻撃)
その反応を触媒するのがヘキソキナーゼという酵素で、ADPを押し出しやすくするための補助因子としてMg2+が必要になるのです。

補足的な細かい説明をすると以下になります。
キナーゼとはドナー分子(ここでいうATP)から基質(ここでいうグルコース)にリン酸基を転移させる酵素のことを言います。(リン酸化)
基質とは酵素と結合して酵素が働く場所となる物質のことです。
キナーゼ系はMg2+を必要とします。
なぜなら、ヒドロキシ期もリン酸基も負電荷を帯びているため本来は反発しあうのですが、Mg2+の配位結合がリン酸基の負電荷を抑えることでリン原子が求核攻撃を受けやすくしているのです。(リン酸基が取れやすくなって転移しやすくなるってこと。)
ほとんどのところでヘキソキナーゼの基質をATPと省略して書かれていますが、実際は、ヘキソキナーゼの基質の一つはATP4-とMg2+が配意結合したMgatp2-となっているのです。

以上が、筋肉の興奮を低下させるときのMg2+利用の過程ですが、他にも、脂肪を分解させる時や様々な過程でATPが必要になってきます。
ですので、ATPが登場する過程では常にMg2+が必要となって来ます。
これが、Mg2+が生体の機能維持に不可欠と言われる理由です。

まとめとして車に例えると、車にとってタイヤは必要です。
でも、そのタイヤを留めるためのビスも必要です。
Mg2+はまさにそのビス的な存在です。
確かに必ず必要なものですが、だからといって100個も200個も用意しても車の性能は上がらない。
必要な分だけあれば良い。
ですので、Mg2+もたくさん摂れば良いという成分ではなく、不足しないように補っていれば特に問題がないという程度の成分なのです。
Mg2+にばかり注目してるヒマがあるなら、他にやるべきことに目を向けた方が身体の性能は上がるでしょう。

補足
マグネシウムが豆乳を豆腐に固化ささるように、高濃度のMg2+はタンパク質を固化する性質があるもあるので注意が必要です。





2017/12/07

とんでも記事

この忙しいときに母親から、「こうじ酵素がダイエットに良いって人気なんだけどどうなの?」と問い合わせが来ました。
もし本当に効果があるならボクサーや格闘家が減量するとき使ってるだろと思いながらも、取り敢えず調べてみました。
そうしたら、こんな記事が出て来たのでぜひ読んでみてください。
中には、なるほどと思う人もいるかと思うのですが、この記事を使って、私が日頃から言ってるネットにはwiki以外まともなものがほとんどないという意見の証明をしてみたいと思います。
このライターさんに恨みはありませんが、運が悪かったということで。
まず最初に、麹は微生物のことで、その微生物が作る酵素が良いとうたっているのですが、簡単に酵素の説明をしたいと思います。
酵素とは、生体で起こる化学反応を進めてくれる分子のことです。
ちなみに、タンパク質から作られてます。

では早速、この記事がどうみなさんを騙してるか説明して行きます。
長々と色々なことが書いてありますが、最後に「まとめ」と出て来ますのでそこを見てみましょう。

まず、でんぷんを太る原因としてるのは合ってるのですが、酵素が足りないと消化出来ずに脂肪になると書いてます。
これ真逆です…。
消化を「消して無くなる」と誤認させるような文章になってますが、腸は消化して細かくなったものしか吸収出来ません。
消化出来れば出来るだけ吸収されます。
とくにでんぷんなんて炭水化物のかたまりですから、吸収したときに必要量が満ちてれば確実に脂肪になります。
ちなみに消化出来ないものは吸収出来ないので、便として排出されます。
ですので、痩せたいなら消化させなきゃ良いんです。
ただ、栄養が吸収出来ないことになりますから、痩せるけどいずれ病気になるでしょう。

次に、酵素の無駄使いをするなと書いてます。
確かに以前は酵素の量は限られてるとあったのですが、それは昔の話です。
そして、酵素には反応後はもとの状態に戻るという性質があります。
ですので枯渇することはそうそうないでしょう。
しかもです、仮に限りがあったとしてもこの程度の節約なんて、体内の酵素の莫大な量からみたら微々たるものです。
足元のゴミを拾ったから地球が綺麗になったと言い張ってるのと変わりません。
確かに数値化したらそうかも知れないけど…ってレベルのこじ付けです。
さらに、酵素の無駄使いをしないためにジャンクフードやアルコールをやめて…とありますが、もしやめられたらこれ飲まなくても痩せるでしょう。

以上、「まとめ」の二つがどっちも間違っているという、ろくな「まとめ」じゃありません。
でも、今のネットはこんな記事ばかりです。
もはや、間違った知識を植え付けられるなら、知らない方がまだマシですよね。
運良く正しい方を選択出来るかも知れないですから。
これ、抗がん剤にも言えますよね。
助かる可能性があった人達が亡くなって行く。
抗がん剤がいけないと書くなら、何が良いのかを書いてあげないと、読む方は途方に暮れてしまいますよ。
ほとんどが、怖いと否定するだけで終わってしまう。
知識が無いからその先が書けない訳であって、知識が無いなら書くなって言いたいですよね。
とくに生き死にが掛かってる内容なんですから。
話が逸れてしまいましたが、母親にはこの事実を伝え、二時間ドラマを観ながら食べるポテトチップスを止めるようアドバイスをして終わりましたとさ。





2017/11/30

痛みの機序ver2.0

炎症によって細胞膜から切り出された不飽和脂肪酸のアラキドン酸が、プロスダグランジン合成酵素(cox)によってプロスダグランジンE2になります。
そのプロスダグランジンE2は、自由神経終末上にあるプロスダグランジンE2受容体に結合してホルモン感受性リン酸化酵素を活性化します。
このリン酸化酵素がカプサイシン受容体をリン酸化してナトリウムイオンが流入。
自由神経終末の細胞膜(-70mV)に刺激が加わると細胞膜が興奮し、ナトリウムイオンの透過性は2000倍近くに高まります。
ナトリウムイオンの細胞内流入により膜電位が脱分極し局所電位が起きます。
脱分極が閾値を越えると活動電位となります。
軸索を伝わって神経繊維のシナプス終末に到達した活動電位が引き金となって、シナプス終末からグルタミン酸が放出されます。
グルタミン酸は拡散で幅20〜50nmのシナプス間隙を移動。
脊髄後角のニューロン上のグルタミン酸受容体と結合して、受容体チャネルが開き、細胞外からナトリウムイオンやカルシウムイオンがニューロン内に流入し、内向きの電流が流れ、シナプス後電位が発生します。
ただし、グルタミン酸受容体のシナプス後電位は小さく、それ自身で自己増幅するほど興奮しません。
そのため、シナプス後ニューロンは細胞体と樹状突起上に、感覚受容器からの感覚神経と多くのシナプスを形成しています。
この局所的な膜電位の脱分極の総和が軸索にあるイオンチャネルを開く大きさに達すると活動電位が発生します。
グルタミン酸受容体にはAMPA受容体とNMDA受容体があり、通常はグルタミン酸の放出によりAMPA受容体が活性化され一方向に情報が伝達され終了します。
しかし、炎症や神経損傷などにより持続的に侵害情報が送られると、AMPA受容体だけでなくNMDA受容体も活性化します。
樹状突起の小さな突起スパインにあるNMDA受容体からカルシウムイオンが流入すると、カルシウム依存性リン酸化酵素が活性化され、2つに折れ曲がった状態から直線状になりNMDA受容体の方に移動しスパインが大きくなります。
スパインが大きくなり、シナプス結合の数が増えることで膜電位の脱分極の総和が増え軸索にあるイオンチャネルを開く大きさの活動電位が発生します。
そして脊髄を上行し、体性感覚野に痛みの情報が伝わるのです。
また、リン酸化によるタンパク分子のスイッチは分や時間単位で行われるのですが、侵害情報が絶えず脊髄後角に伝わるとNMDA受容体のリン酸化は一週間も持続します。
これが長引く痛みに関係してくるのです。






2017/09/28

がん治療 4

前回カゴメさんから発売されているラブレを紹介しました。
そこで今回は、一カ月飲むと20万円近くするのに、エビデンスにムリがある商品の例を紹介します。
さすがにここで大々的に商品名を上げるのは訴えられそうなので、商品Aとさせていただきます。

今回、商品Aを例に出してお伝えしたいのが、アポトーシスを歌う商品には頼り過ぎるなということです。
また、商品の値段や食材の希少性は判断材料から消して考えるべきだということです。
何故なら一番恐いのは、これらのエビデンスのない商品に頼り過ぎて、本当にやらなければならないことが疎かになることです。

それでは、商品Aがどのようにアポトーシスを歌っているかを見て行きましょう。
まず、そもそもアポトーシスとは何かです。
アポトーシスとは、個体をより良い状態に保つために引き起こされるプログラムされた細胞自殺、細胞死のことです。
商品Aは、ある抗がん剤と同様の成分が、がん細胞の微小管に働きかけ細胞分裂を阻害するというのです。
細胞分裂を阻害されたがん細胞はアポトーシスを起こします。
もはや内容は抗がん剤と同じです。
ここで問題なのが、抗がん剤と違い選択的にがん細胞に働きかけるので副作用がないと言っていることです。
通常、我々には目があり、目で見て物を判断することが出来ます。
では、その成分は何を見て正常な細胞の微小管とがん細胞の微小管を見分けているのでしょうか。
見分けられる訳がないんです。
だからこそ抗がん剤は全ての微小管に働きかけてしまい、その結果副作用が起こるのです。
もし本当にそんなものがあったら、全く副作用のない抗がん剤が誕生したことになります。
がんに特異性のある分子標的薬の研究をしている人達が、それをこれ程長い期間見過ごすでしょうか?

がん治療に効果的と歌う商品は、大きく二つに分かれます。

がん細胞のアポトーシスを誘導する。
NK細胞(免疫細胞)を活性化する。

この二つです。
現在、特異的にがん細胞に働きかけアポトーシスを誘導する商品や食材はありません。
可能なのは二つ目のNK細胞を活性化させることだけです。
前回紹介したラブレはこの二つ目に当てはまるのですが、がんに効果的とは大きく歌ってません。
それでもエビデンスにはきちんとしたものがあります。
商品Aとは大違いです。

高い商品、希少な食材を摂ってるから安心。
とんでもない。
最後にもう一度言いますが、本当に恐いのは、エビデンスのない商品に頼り過ぎて、本当にやらなければならないことが疎かになることです。