2016/11/24

免疫 その2

免疫抑制の機序

大阪大学免疫学フロンティア研究センターの鈴木一博准教授らが分子レベルで実証。


リンパ球はリンパ節から脱出し、血流に乗って体内を循環して免疫作用を発揮する。

交感神経の節後繊維から放出されたノルアドレナリンがリンパ球の細胞膜にあるβ2アドレナリン受容体に反応し、リンパ球の働きをコントロールするケモカイン受容体と細胞膜で相互作用して、リンパ球のリンパ節からの脱出を抑制する。
よって、交感神経優位で免疫力が低下する。



<補足>


リンパ球の細胞膜にはβ2アドレナリン受容体がある。

β2アドレナリン受容体は、細胞の移動を促す分子であるケモカインの受容体CCR7、CXCR4と複合体を形成する。
ケモカイン受容体が働くと、リンパ球のリンパ節への保持が促される。

交感神経節前繊維(コリン作動性ニューロン)からアセチルコリンが放出→

交感神経節後繊維(アドレナリン作動性ニューロン)のニコチン受容体が受容
交感神経節後繊維(アドレナリン作動性ニューロン)がノルアドレナリンを放出
効果器のα、β1、β2受容体が受容
αはノルアドと、βはアドと親和性が高い

副交感神経節前繊維(コリン作動性ニューロン)からアセチルコリンが放出

副交感神経節後繊維(コリン作動性ニューロン)のニコチン受容体が受容
副交感神経節後繊維(コリン作動性ニューロン)がアセチルコリンを放出
効果器のムスカリン受容体が受容

アドレナリン作動性ニューロンからはアドレナリンは直接出ない。

循環アドレナリンによって反応。

副腎髄質は交感神経系の神経節である。

副腎髄質にはアセチルコリンの受容体(ニコチン?)があり、交感神経節前線維が放出するアセチルコリンを受け取る。
それにより髄質は血液中にアドとノルアドを17:3の割合で放出。
そのアドレナリンが循環して骨格筋のβ受容体などに反応し血管が拡張。





2016/11/03

鍼灸治療

鍼には色々な流派があり、先生によっても考え方は様々である。

私が考える鍼灸は、東洋医学にのみ固執したものではなく、西洋医学的な観点も取り入れたものである。

やはり、解剖・生理・生化学を学んでしまうと、医学的根拠を無視できない考え方になってしまう。

でも、そうすることで未知の技術である鍼灸がより受け入れやすくなると考えている。

私が行う鍼灸は、鍼で病気やケガをその場で治すと言ったものではなく、鍼で本来人間が持っているはずの回復能力を正常に働かせるようにするものである。

例えば、身体の中に菌やウイルスが入って来たら、免疫細胞の好中球やマクロファージが処理してくれる。

他の免疫細胞が手を出せないMHCクラスⅠ分子の発現を消失させてしまうガン細胞も、NK細胞が処理してくれる。

このように、本来は必要なものは全て身体の中に備わっているのである。

しかし、現代のストレス社会によって交感神経が優位になり、本来働くはずの免疫が抑制されてしまう。

そうすれば、病気にもなるしケガの回復も遅くなる。

寝ても疲れが取れないなんていうのは、まさしく回復能力が低下している証拠だ。

それを、副交感神経優位に切り替え免疫が働きやすくすることで、本来人間が持っている回復能力をフルに活用させるのが私の行う鍼灸の目的なのである。

また、東洋医学的な鍼灸と言えば、気が大事になってくる。

気と言うと胡散臭さを感じる方もいるかと思うが、私は存在すると考えている。

実際、我々が生きて行く上で欠かせない酸素O₂、これが肉眼で見えている人が何人いるだろうか。

また、現代社会において欠かせない電磁波も肉眼では見えない。

見えないのに吸っているし、見えないのに日々利用している。

見たことないからと頭ごなしに否定するのはいささかおかしい。

いずれ科学が進歩し続けて行けば気の素性も解明される日が訪れるだろう。




2016/07/24

原子

原子
 電子ーの中に原子核+がある。

原子核
 陽子+ + 中性子

原子は、原子核+の周りをーの電子が取り巻いている状態。
原子核は中性子が+でもーでもなく陽子が+なので+。
電子と陽子の電荷が同じ。
このバランスが崩れ、過剰あるいは欠損により電荷を帯びた原子がイオン。

原子の数は、陽子と中性子の組み合わせに応じて300~6000種類ある。

原子は構造的な概念であるのに対して、元素は特性の違いを示す概念である。
元素の差異は陽子の数(原子番号)で区分される。
したがって、中性子の総数により質量数が異なる同位体も同じ元素として扱われる。
これに対し原子は中性子の個数を厳密に捉える。
したがって、元素とは原子の集合名詞ということも出来る。

元素の種類は114種類。
例えば炭素Cには中性子数の異なる12C、13C、14Cの3種類がある。

アルギニンの化学式 C6H14N4O2

ブラジキニンの化学式 C50H73N15O11

グルコースの化学式 C6H12O6





2016/05/24

筋肉

収縮
大脳に発する運動指令は、小脳において修飾されたのち、遠心性の運動神経を介して、活動電位として伝えられ、運動神経と筋肉の連接部である神経筋接合部に至る。運動神経の末端にあるシナプス前終末に活動電位が伝わると、ここに分布する電位依存性Caチャンネルを開口させて、Ca電流を生じる。これによるCa濃度上昇はアセチルコリンを放出させ、ここで放出されたアセチルコリンは、シナプス間隙に拡散して、筋肉側で神経終末と結合している終板に達する。終板にはアセチルコリンのニコチン受容体があり、これにアセチルコリンが結合することでNa、K、Caが流入して、いわゆる終板電位 (EPP)を発生させる。これは、筋鞘を介して筋線維全体に伝播されたのち、横行小管(T管)を介して筋線維の中に入って筋小胞体へ至り、筋小胞体からCa2+の放出を引き起こす。これにより細胞内Ca2+濃度が増加し、トロポニンCとCa2+が結合することで、アクチンとミオシンの間に介在するトロポミオシンが移動して、アクチンとミオシンの両フィラメントの結合が可能になる。ATPがクロスブリッジに作用してミオシン頭部の首振り運動(滑走)が起こり、筋が収縮する。ATP1分子の分解あたり最高60nmまでアクチンフィラメントが動く。

弛緩
筋細胞膜の膜電位が再分極され、静止膜電位に戻る。細胞質内の過剰なCa2+はATPを用いて能動輸送で筋小胞体に回収される(Ca2+-ATPase)細胞質内のCa2+濃度が10-7M程度に低下すると、トロポニンCからCa2+がはずれてトロポミオシンが元の位置に戻ることで、アクチンとミオシンの結合が解離され、筋が弛緩する。

櫻田式筋弛緩術
運動をして筋肉内のATPが枯渇して行くと筋の弛緩が出来なくなる。収縮出来る筋が減少すればパフォーマンスも落ちて来る。しばらく休めば筋力が回復した状態になるのはATPが作られCa2+が回収され弛緩が起こり収縮出来る筋が用意出来るからである。
となると、筋の弛緩には筋細胞の膜電位が静止膜電位に戻るか、Ca2+を意図的に筋小胞体に回収させるかのどちらかが必要ということになる。
しかし、このATPを分解しながら起こす収縮は5~10ミリ秒しか続かない。
筋小胞体のATPaseが急速にカルシウム濃度を減少させているからである。
だとすると、筋小胞体へのCa2+の回収を意図的に促進させる必要はなくなる。
よって、筋の弛緩を意図的に誘発させるとしたら、活動電位を抑制させることで静止膜電位に近づける方法となる。

そこで出て来るのが、抑制性介在ニューロンだ。
ある実験で、筋の弛緩をイメージしたら皮質脊髄路の興奮性が安静時より有意に減少したとある。このことは錐体細胞やα運動ニューロンに抑制性の信号が送られていることを示す。ただし、安静時よ りも皮質脊髄路の興奮性が低くなったのは一時的であり、 すぐに安静時と同等の興奮性になった。つまり、筋収縮のイメージから筋弛緩のイメージをする際、抑制指令は高まった皮質脊髄路の興奮性を下げるために一時的に出力されていると考えられる。

この抑制性介在ニューロンを利用したのが自原抑制である。
筋が伸張し筋紡錘(錘内筋繊維)が伸張することでⅠa群求心性繊維から活動電位が発生。上行し脊髄内でα運動ニューロンにシナプス。α運動ニューロンが興奮し同名筋(錘外筋)が収縮。同名筋が収縮することで腱紡錘に張力が発生しⅠb群求心性繊維が興奮。上行し脊髄内の抑制性介在ニューロンにシナプス。抑制性介在ニューロンがα運動ニューロンを抑制し同名筋(錘外筋)が弛緩する。
この自原抑制を上手く使うことで意図的に筋を弛緩させることが出来ると考える。
まず、伸張反射が起きない様にゆっくりとした圧で、また屈曲反射が起きない様に優しい圧で腱紡錘に張力を発生させる。この際、伸張反射には腱紡錘は関与しないことから、刺激は直接筋に入れ、張力を発生させるしかない。
また持続圧で張力を発生させ続けることで確実にⅠb群求心性繊維を興奮させ、筋を弛緩させることが出来る。
これがLaluz鍼灸院の手技の機序である。




痛みの機序

自由神経終末の細胞膜-70mVに刺激が加わると細胞膜が興奮し、Naの透過性が2000倍近くに高まる。これによりNaが細胞内に流入し膜電位が脱分極し局所電位が起きる。脱分極が閾値を越えると活動電位となる。発生した活動電位が神経線維を伝導することで痛みの信号が届く。

毛細血管や筋線維に、痛覚線維はない。

筋肉の痛覚線維は、筋線維を包む結合組織(筋膜)、細動脈のまわりおよび筋肉と腱の結合部にみられる。

血流が減少している筋肉を収縮させると、侵害刺激を加えなくても痛みが生じる。


拘縮活動電位の発生を伴わずに起こる持続の長い非伝導性の可逆的収縮。多くの場合、膜は脱分極をしている。膜電位がおよそ-55から-50mVの範囲より負であるときには、拘縮は生じない。膜電位がこの閾値を超えて脱分極するときに拘縮が生じる。さらに脱分極が増大すると、張力も急速に増大し、膜電位が-40mVに達すると発生張力は最大になる。このように、収縮の強さは、膜電位の脱分極の程度によって決まる。

筋の収縮時に、筋小胞体へのCa2+の能動輸送が抑制されると、活動電位の発生が止まっても、筋は弛緩しなくなる。


一次侵害受容ニューロンは、脊髄前角の運動ニューロンとシナプス接続している。運動ニューロンを介して反射性に筋収縮や筋の持続的収縮を引き起こす。


体性交感神経反射経路:脊髄→(延髄→脊髄を下行→)脊髄側角→交感神経節前線維→効果器。痛み刺激により交感神経が興奮し、その分節の血管を収縮させる。一過性の血管収縮は出血や炎症を防止する防御反応である。また、一過性の血管収縮は虚血によるアシドーシスを来す。


皮膚の感覚神経の終末は真皮に多く存在する。


皮膚や皮下組織が傷害されてコラーゲンが露出すると、ブラジキニンなどの発痛物質が産生される。発痛物質が侵害受容線維を興奮させ、痛みを感じる。ブラジキニンにより、プロスタグランジンなどの発痛増強物質が産生される。発痛増強物質により発痛物質による痛みが増強される。