2018/02/12

β酸化

食事をして4〜5時間もすると、肝臓のグリコーゲンの分解による血中へのグルコース供給も減り、それに伴い各組織でトリグリセリドの加水分解が始まります。
脂肪組織で生じた脂肪酸はβ酸化によりエネルギーとして利用されます。

β酸化はミトコンドリアのマトリックスで行われるため、マトリックス内に入る必要があります。
まず、脂肪酸はミトコンドリア外膜にあるアシルCoA合成酵素によってアシルCoAになります。
アシルCoAは外膜を通過して膜間腔に入ります。
炭素数が11より短い場合はアシルCoAは内膜も通過出来るのですが、炭素数が11以上になると内膜を通過出来ないので、アシルCoAは内膜にあるカルニチンアシル基転移酵素Ⅰによりカルニチンと反応しアシルカルニチンとなります。
アシルカルニチンは、内膜にあるカルニチン-アシルカルニチントランスロカーゼにより、カルニチンと入れ替わりに内膜を通過してマトリックス内に入ります。
次に、アシルカルニチンは内膜のカルニチンアシル基転移酵素ⅡによってアシルCoAになり、β酸化の反応が始まります。

β酸化は以下の4段階の反応からなります。
アシルCoA→
エイノルCoA→
ヒドロキシアシルCoA→
オキソアシルCoA→
アセチルCoA+アシルCoA

まず、アシルCoAは、アシルCoAデヒドロゲナーゼ(脱水素酵素)とFADによりエイノルCoAとなります。

エイノルCoAは、エイノルCoAヒドラターゼとH2OによりヒドロキシアシルCoAになります。

ヒドロキシアシルCoAは、ヒドロキシアシルCoAデヒドロゲナーゼとNADにより3-オキソアシルCoAとなります。

オキソアシルCoAは、アセチルCoAアシル基転移酵素(チオラーゼ)とCoA-SH(補酵素A)により、アセチルCoAと炭素数が2炭素分短くなったアシルCoAになります。

偶数鎖の場合は、これを繰り返し全てアセチルCoAになりクエン酸回路に入ります。
奇数鎖の場合は、最後、アシルCoAが炭素数3つのプロピオニルCoAとなります。
プロピオニルCoAはメチルマロニルCoAを経てスクシニルCoAになりクエン酸回路に入ります。

また、不飽和脂肪酸のβ酸化は、途中で不飽和部分が処理されます。
β-γ間にニ重結合があるエイノルCoAは、イソメラーゼにより二重結合の位置を移されα-β間に二重結合がある通常のエイノルCoAにされます。
また、γ-δ間に二重結合があるジェイノルCoAが生じたときは、2,4-ジェイノルCoA還元酵素によりβ-γ間にニ重結合があるエイノルCoAにされ、次にイソメラーゼで通常のエイノルCoAにされβ酸化を受けます。

パルミチン酸がβ酸化されると147モルのATPが作られます。
炭素数16個なので、アセチルCoAが8モル、FADHが7モル、NADHが7モル生じます。
電子伝達系では、1FADH(QH2)で6H+、1NADHで15H+の濃度勾配が生じます。
アセチルCoA1分子で、1FADH、3NADH、1ATP生じるので、Hの濃度勾配から生じるATPも合わせると、

{(6+45-2m)/8}×3+1=m
m=11.5
11.5×8=92ATPが生じます。

7FADHと7NADHから147H+の濃度勾配が生じるので、147/8×3=55ATPが生じます。

92+55=147ATP
となります。

ちなみに、医学書院の生化学の教科書では、パルミチン酸のβ酸化で生じるATPは106で、脂肪酸は最初に2ATP必要なので、正味104ATPとなってます。





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