2018/10/03

鎮痛の色々

広汎性侵害抑制調節DNIC
広汎な部位に侵害刺激を加えると、痛みが抑えられる。


ゲートコントロール
経皮的電通刺激法TENS


ゲートコントロールセオリーの主役は、SG: substantia gelatinosa(膠様質)のニューロンである。
SGは、痛みの信号を伝逹するT細胞に対するゲートを閉じる働きをしている。
侵害性の高閾値感覚を伝える細い神経線維は、SGを抑制するので、痛みの信号伝達のゲートが開き、痛みを感じる。
触、圧、振動などの低閾値感覚を伝える太い神経線維は、SGを活性化させるので、痛みの信号の通路のゲートを閉ざす。

痛みのある場所あるいは、そこから痛みを中枢に伝える末梢神経を覆う皮膚の上に一対の電極を置いて電気刺激する除痛法。
10-100Hzの比較的高頻度で刺激する。
電流を強めると刺激による痛みが起こるので、痛みの閾値以下の強さを用いる。刺激を始めてから2、3分経つと鎮痛効果が現れ、刺激をやめてから数時間に渡って効果が残ることも少なくない。
末梢神経に原因がある慢性痛には有効であるが、慢性リウマチのような神経以外の組織に病変がある痛みにはほとんど有効ではない。
高倉公朋先生が1/fゆらぎ刺激に除痛効果があることを示し、最近の市販のTENS用機器は、1/fリズムのような刺激条件が設定されているものもある。

2018/08/26

プロテイン

プロテインというと、筋肉を付けるために飲むものと認識されている方がほとんどではないでしょうか。
誤りではありませんが、プロテインとは本来身体を回復させるものなのです。
ですので、日々仕事で疲れている私たちの身体にはプロテインがとてもオススメです。
ボディービルダーは、過度のトレーニングを行い、プロテインの回復能力を利用し筋肉の運動性肥大を誘発させているだけなのです。
プロテインとはタンパク質のことで、タンパク質は私たちの身体のほとんどを構成しています。
皮膚も筋肉も内臓も血管も、そして意外かも知れませんが骨にもタンパク質が使われています。
前回のコラムで書いたコラーゲンがまさに骨で使われているタンパク質なのです。
今回のコラムは、前回のコラムの続きなのでコラーゲンを例に取り上げてタンパク質の説明をして行きます。

まず、タンパク質は吸収される際にアミノ酸にまで分解されます。
吸収されたアミノ酸は、細胞質中に遊離アミノ酸として存在し、翻訳時にtRNAに運ばれて行きます。
そして、その場所ごとに必要なタンパク質が作られます。
コラーゲンもタンパク質ですし、コラーゲンの生成過程に関わる様々な酵素もタンパク質です。
どれか一つが欠けてもコラーゲンは生成されません。
結局、全ての細胞質にバランス良く材料となる様々な遊離アミノ酸が存在して初めてコラーゲンが生成されるわけです。
コラーゲンペプチドが取り上げられてますが、確かにコラーゲン生成の起爆剤かも知れませんが、それは全ての生成に関わるパーツが揃ってる上での話であって、プロテインはそのパーツの多くを満たすことが出来るのです。
ですので、前回コラーゲンを摂るよりも、プロテインを摂った方が手っ取り早いとお伝えしたのです。
それでは、次にプロテインを摂る上で気になる質問に答えて行きましょう。

「筋肉が付き過ぎたりしないか」
しません。
そんなに簡単に筋肉隆々になったら、ボディービルダーの方たちは苦労しません。
筋肉は使わなければ簡単に萎縮しますので、むしろキープする方が難しいくらいです。

「運動してないのに飲んで太らないのか」
摂取量さえ注意すれば、まず太りません。
生体内には、アミノ酸から中性脂肪への反応ルートが確かに存在しますが、アミノ酸の需要が多過ぎてまず中性脂肪にまで回りません。
先にも上げた様に必要箇所が多過ぎて、その前に使い果たされてしまいます。

「そもそも運動してないのに飲んで良いのか」
良いです。
アミノ酸は毎日自分の体重分gは必要です。
60kgの人は60g
正確な数字としてはもう少し%が低いのですが、摂取したタンパク質が全て消化吸収されるとも限らないので、体重分gを意識してください。
一日の食事から摂れるタンパク質量をざっくり調べて、不足分をプロテインで摂ると良いです。

「摂り過ぎは腎臓に負担がかからないのか」
腎臓の悪い方は、タンパク質摂取を控えたりしますが、健常者はそこまで気にしなくても大丈夫だと思います。
それを言いだしたら、肺胞の負担を減らすために酸素摂取を控えますか?
筋肉に負担がかかるから運動を控えますか?
脳に負担がかかるから考えることをやめますか?
など、キリがありません。
むしろ、タンパク質摂取量が体重分gより少ないことの方が問題です。
炭水化物はエネルギーでしかありませんので控えるのもありですが、タンパク質は私たち自身なのです。
私たちの身体はタンパク質で出来ているのです。

「オススメの摂り方はありますか」
基本的には回復に効果的な夜が良いと思いますが、多くの方が夜は食事から摂取出来ていると思いますので、朝が良いかも知れません。
一度に摂り過ぎると、消化の過程でスカトールが生成され便やオナラが臭くなります。
そうした場合は、一度に摂取し過ぎという合図になりますので、一日のうちで何回かに分けて摂るなり、食事から摂れてる量を調べ直したりすると良いと思います。

以上が良くある質問です。
これを機会にぜひ皆さんのタンパク質摂取量を見つめ直してみてください。
女性は以外と摂れてない方がいるかと思います。
日々の疲れも取れますし、美容にもとっても効果的なので、体重分gのタンパク質摂取にプロテインを上手く活用して見てください。





2018/08/18

コラーゲン ver.2.5

コラーゲンのコラムをver2.5として書き直してみました。
説明上、専門的な言葉も入ってしまいますが、出来るだけ分かりやすく書いたつもりです。
良かったら参考にしてみてください。

私達の体内において、コラーゲンの活躍の場は多岐に渡り、はっきり分かってるだけでもⅠ型〜ⅩⅤⅢ型まであります。
そんな中、今回は多くの女性が気になるⅠ型を始めとする肌のコラーゲンを見て行きます。

I型コラーゲンのコラーゲン領域のアミノ酸組成はグリシン残基が1/3を占め、プロリン及びヒドロキシプロリン残基を合わせて21%、アラニン残基が11%となります。
ということは、I型コラーゲンの材料であるグリシンやプロリン、ヒドロキシプロリンを多く摂れば効果的と言えるでしょう。
ではまず、グリシンは何に多く含まれているかというと、普通のタンパク質の中にはそれほど含まれておらず、コラーゲンの中に多く含まれていると。
ということは、摂取したコラーゲンが直接肌に行くことはなくても、生成過程での材料目的でコラーゲンを摂ることは理にかなっていると言えそうです。
プロリンもまた、コラーゲンを摂ることで材料として吸収出来ます。
ですので、コラーゲンを作りたいならコラーゲンを摂取することは間違いではなさそうです。
ちなみに、コラーゲンは体内に吸収される際には細かく分解されるので、よくある「希少なコラーゲン」である必要はありません。
何故なら、材料であるグリシンやプロリンには希少も何も無いからです。

次に、数あるコラーゲンサプリの中で、どのサプリが良いかという話になります。
コラーゲンには、生成過程で必要な成分というものがあります。
コラーゲン特有のアミノ酸残基であるヒドロキシプロリンやヒドロキシリジンは、まずそれぞれプロリン・リジン残基の形で合成され、タンパク鎖が形成された後に小胞体内で水酸化されます。
この反応時に、補酵素にビタミンC、捕因子に鉄、翻訳後修飾にリジンが必要になります。
ですので、サプリ購入時にはコラーゲンと一緒に、ビタミンC、鉄、リジンが含まれているものを探していただくと良いと思います。
そこでオススメなのは、アミノ酸スコア100のプロテインを摂るのが一番手っ取り早いかと。
まず、アミノ酸スコア100のプロテインの中には、グリシン、プロリン、リジンがしっかり含まれていますし、一緒にビタミンCが入ってるプロテインもあります。
また、コラーゲンはペプチドの状態でも吸収されるとありますが、確かに小腸から小腸粘膜上皮細胞内にはペプチドの状態で吸収されますが、小腸粘膜上皮細胞内でアミノペプチダーゼによって加水分解され血管内に入る時には遊離アミノ酸に分解されています。
一部ペプチドがそのまま血中へとの研究データは出ているようですが、輸送タンパクまで同定されたわけではありません。脂質のミセルの様なパターンも考えられますので、わざわざコラーゲンで摂らなくてはならない理由はないのです。
しかも、今の時代、プロテインは安いしとても飲みやすくなってますので、本当にオススメです。

次に、コラーゲン生成を促して行く過程で必要になって来ることがあります。
コラーゲンの生成には大量の酸素の供給が必要になります。
ですので、肌自体の血行を良くして酸素が細胞に供給されやすい環境を作っておくと効果的と言えます。
エステでのフェイシャルも効果的ですし、マッサージで首肩のコリを取っておくと肌への血行も良くなります。

最後に、化粧品としてのコラーゲンですが、コラーゲンは保湿効果が高いタンパク質であり、コラーゲン分子は3残基ごとに繰り返すグリシン以外の残基がすべて分子表面に露出しているので、周囲に多くの水分子を保持できます。
ですので、コラーゲン生成には繋がりませんが、皮膚表面に塗布することで肌を保湿するという効果は期待出来ます。
ちなみに、皮膚に塗布したコラーゲンがそのままの形で皮下に吸収・利用されることは考えにくいでしょう。

まとめ
コラーゲンサプリよりも、アミノ酸スコア100のプロテインを摂るのが他の必要アミノ酸も摂れるので効果的と言えるでしょう。
そして、酸素が細胞に供給されやすくするために、エステやマッサージなどで血行を促進しましょう。

ここからは、専門家の方へ
コラーゲンは、1000残基近い長さを持つ3本のらせん状のポリペプチド鎖からなり、長さが約3000Åで半径が15Åの棒状分子です。
グリシンがアミノ酸配列の3残基ごとに現れ、各鎖は他の2つの鎖と水素結合し超らせんケーブルを形成します。
この時、グリシンのみが内側の配置に収まります。
ビタミンC (アスコルビン酸)は、特異的な抗酸化剤として働き4-ヒドロキシプロリンを合成します。
ヒドロキシプロリンが多くあるとコラーゲン鎖間に水素結合が形成され、コラーゲンの3重らせんが安定化されます。
ですので、ビタミンCの欠乏はコラーゲンの不十分なヒドロキシ化を引き起こし、その結果生じた異常なコラーゲン繊維は正常な組織強度を維持することができなくなります。
こらがビタミンCが必要な専門的な理由になります。

2018/07/21

湯船と酵素

湯船に浸かることが良いことだと言うのは皆さんご存知だと思います。
では、何故良いのかと聞かれたら、新陳代謝が良くなるとか、身体が温まるとか、血行が良くなるとか。
これは、一般の方向けの分かりやすい説明です。
そこで今回は、治療家間でどんな話がされてるかを説明したいと思います。

例えば、車にキーを挿してから走り出すまでに、実際は様々な行程が存在する様に、身体にも細かな行程が存在します。
それは全て分子レベルでの化学反応であり、人の身体はその分子レベルの化学反応の連続生体系が維持されてます。
通常、実験室で化学反応を起こすと一週間くらいかかる反応が、生体内では酵素の力を借りて一瞬で反応出来てしまうのです。
もの凄いハイスペックです。
そして、この酵素がとても重要になるのですが、この酵素には適正温度というのがあります。
それが摂氏37度前後なのです。
体温には、外殻温度と核心温度があり、外殻温度は体表近く、核心温度は身体の中心部、内臓などの温度になります。
外殻温度と核心温度は大体1度違うので、体温計で36.5度あれば核心温度は最適と言えるでしょう。
最近は体温の低い方が増えておりますので、しっかりお風呂で身体を温めてあげることで酵素による化学反応が活発に行われ、身体に必要な成分が生成されるようになります。
必要な成分が揃って初めて細胞分裂も正常に行われ、健康が維持されます。
ですので、湯船に浸かると疲れが取れるのです。

<おまけ>
酵素には基質特異性と言って、この化学反応にはこの酵素と言うように、反応に必要な酵素に決まりがあります。
要は、酵素は化学反応の数だけ存在するのです。
そのため、酵素の種類は数千種類以上確認されています。
このことから、特定の酵素ドリンクだけを飲んでもあまり効果的とは言えないことが分かるかと思います。
また、酵素はタンパク質から出来ているので、結局体内に吸収される際にはアミノ酸まで分解されてしまいますので、バランスの良いプロテインを摂る方がおすすめです。
プロテインはトレーニング後だけと思われている方がまだいるようですが、体重分gのタンパク質は毎日必要ですので、毎日プロテインを摂っても大丈夫です。
私も、健康目的で毎日欠かさず飲んでます。
トレーニング無しでプロテインを摂ると太るのではと心配されてる方は、まず問題ありません。
確かに、アミノ酸から中性脂肪への反応ルートは存在しますが、体重分gのプロテイン摂取で太ることはまずないでしょう。
その前に生体維持でそのアミノ酸は消費されてしまいますから。
おまけの方が長くなってしまいましたが、運動されてる方や、日頃疲れが取れないなんて方はぜひ湯船に浸かって身体を温めてあげてください。





2018/02/16

ケトン体

グルコースの不足によりオキサロ酢酸が減り、クエン酸回路が回らなくなると、脂肪酸のβ酸化で生じたアセチルCoAはケトン体の合成に入ります。
ケトン体には
アセト酢酸
3-ヒドロキシ酪酸
アセトン
の3つがあります。

合成過程は以下になります。
グルコース不足下で増え過ぎたアセチルCoAは、チオラーゼとアセチルCoAによりアセトアセチルCoAになります。

アセトアセチルCoAは、HMG-CoA合成酵素とアセチルCoAとH2Oにより3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG-CoA)になります。

3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoAは、HMG-CoAリアーゼによりアセト酢酸になります。

アセト酢酸は、3-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素とNADH2により3-ヒドロキシ酪酸になります。

また、アセト酢酸は、非酵素的反応により、H+が付きCO2が抜けアセトンになります。

アセト酢酸と3-ヒドロキシ酪酸は、心臓、骨格筋、脳、腎臓などに移動し、ミトコンドリアのマトリックス内で再びアセチルCoAに変えられてエネルギーとして利用されます。
アセトンは呼気や尿中に排泄され、体内では利用されません。

これらケトン体は、HMG-CoA合成酵素が肝細胞のミトコンドリアにしか発現してないので肝臓でしか作れません。

そして、移動したアセト酢酸や3-ヒドロキシ酪酸は、まず3-ヒドロキシ酪酸が3-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素によりアセト酢酸になります。

アセト酢酸は、スクシニルCoA転移酵素とスクシニルCoAによりアセトアセチルCoAとコハク酸になります。

コハク酸はクエン酸回路でオキサロ酢酸になり不足分のオキサロ酢酸を補い、アセトアセチルCoAは、チオラーゼとCoA-SH(補酵素A)により2つのアセチルCoAとなりクエン酸回路へ入りエネルギーとして利用されます。

スクシニルCoA転移酵素は肝臓では発現してないので、肝臓はケトン体の自家消費が出来ません。

以上がケトン体の合成過程にまります。
ケトン体のメリットはコハク酸からオキサロ酢酸を作れることです。
グルコース不足下で増え過ぎたアセチルCoAは肝臓でケトン体にされ、戻って来ます。
それにより、オキサロ酢酸が作られアセチルCoAと合わさりクエン酸回路が回り始めるからです。

グルコース不足下では、糖新生系だけでアセチルCoAが増え過ぎることはないでしょうから、ケトン体は、中性り脂肪ありきの話と言えるでしょう。
ケトン体を作るにはアセチルCoAが必要になります。
アセチルCoAが増えるためにはβ酸化が必要で、β酸化は脂肪酸の分解の反応系だからです。

よって、反応の順番としては、乳酸とグリセロールによる糖新生→脂肪酸によるケトン体→アミノ酸による糖新生の順番とも言えるでしょう。